あの日から二週間が過ぎた7月初旬、僕は自宅から車で1時間弱のある場所を訪れた。
栃木、群馬、、埼玉、茨城と、4つの県の境に位置するこの場所にやって来たのには、 今後の僕の活動に欠かす事のできない二つの大きな理由があったからなのだ・・・ その場所というのは・・・ 渡良瀬遊水地 日本一の大きさを誇る遊水地は同時に日本でも有数の湿地帯として 動植物をはじめ豊かな自然の宝庫にもなっていたのだ。 国道354号線を群馬県側から進んできた僕は、板倉町、北川辺町と抜けて いよいよ手前に茨城県古河市との境に架かる三国橋を望む場所にやって来た。 広大な大湿原の中で“例のモノ”を探し出す事はおろか、まさに迷宮と呼ぶに相応しい この緑の中に分け入っていくのもままならなかった僕は、以前からこの道を通る度に 気になっていた場所を遊水地での最初の散策場所とする事に決めていた。 近づいてみるとその迫力にただただ圧倒されるばかりの非常に大きな水門。 少し離れた国道からもその存在はハッキリと確認する事ができたので、 もし機会があればすぐ傍まで行ってみようと思っていたのだった。 そう言えば、この前のあの店の前にも小さな小さな水門があったっけ・・・ そんな水門の手前の草むらには淡い紫色をしたアカツメクサが群生していた。 (尤も、アカツメクサは遊水地の至る所で見かけるのだが・・・) まるで鞠の様な可愛らしい出迎えに、僕は幸先の良さを期待したが、 そんなに簡単には事は運ばなかった様だった・・・ とは言えやはり此処は自然の宝庫であり、3月下旬にいったんリセットされた 植物が新たに芽吹き、すくすくと生い茂る季節でもあったので、少し見渡すと・・・ 真っ赤な木の実は鮮やかに輝き・・・ 蝶々をはじめ、虫たちも心躍らんとばかりに花々に群がっていた。 コンクリートのブロック状になった水門の土手を下っていくと背丈ほどもあろうか という高さの灌木や雑草が生い茂っていて岸まで続く道(の様なもの)が伸びていた。 いくら“例のモノ”を求めてやって来たとは言え、この中に入らなくても・・・ と思った僕だったが、何処にあるのか見当もつかなかったので、とりあえず 長袖のシャツに着替えて思い切ってこの僕にとっての“密林”に飛び込んだ。 堤防から岸までのちょうど中間くらいの所だろうか、 ほぼ緑一色で覆われていた視界に明るい色を見つけた。 綺麗なオレンジの花弁が幾重にも重なった存在感のある大きな花は、 この灌木の林の中にあって一層インパクトを大にしていた。 後から調べたところによると、このヤブカンゾウと呼ばれるユリ科の花は この時期、遊水地の土手沿いで見る事ができるらしいが、僕が実際に 目にする事ができたのはこの一輪だけであった・・・ でも、やはりここまで広いと気を付けて散策すればヨシやオギの間から これまで見た事も無かった様々な草花に出会えたりもするのだ。 白いラッパの様なヘクソカズラに、思わず“ヒトデ”と言いたくなるガガイモ 此処ではごく普通に見る事ができるよ、と地元の方から教えて頂いたが、 花屋で見かける事の無いこれ等の植物は僕にとって非常に新鮮に映った。 さて、肝心の“例のモノ”であるが、その種類に対しての指定は無く、 変な話ではあるが、僕が自分で答えを見つけなければならなかった。 そればかりか実のところ場所に関しての決まりも無く、今回この場所を、 この渡良瀬遊水地を選んだの全く以って僕自身なのだった。 これから始まる一連の作業(ゲーム?・・・使命?・・・)のルールはたった一つだった。 それはつまり・・・ 「イヌタデ」 どうやら見つける事ができたようだよ。 見渡す限りのヨシの中へと分け入って行く事は無かった。 道端近くので草むらで一旦お目にかかると、ヒルガオやツメクサと 同様に彼方此方で出会う事のできるピンク色の粒々としたタデの一種。 まるで尻尾の様にシュッと伸びた形が名前の由来かとも 思ったけれど、如何やら食用にすらならないと言うのが語源らしい。 兎に角、漸く見つける事ができたのかと安堵の気持ちで 駐車場に戻ろうとしたその時、もう一つ気になる植物と目が合った。 「イタチハギ」 先程の植物が“イヌ”なら、此方は“イタチ”だそうな・・・ 此処、渡良瀬遊水地で野生の“イヌ”と“イタチ”に出会った僕は、 この広大な緑と水の楽園に別れを告げ、次なる目的地に向かった。 また、近い再会を約束して・・・ね!! これで“今回の任務”は終了かって? いや、記念すべき第一回目にこの渡良瀬遊水地を選んだのはこれからの 僕にとってもう一つ必要不可欠な“あるモノ”を“手に入れる”為でもあった。 そう、“彼”も手に入れた同じ場所へ・・・ 水門から遠目に眺めていたあの橋を渡り古河市内に入ると、 水辺の風景は一変して情緒ある古い街並みが姿を現してきた。 そして僕は登録したナビに従って駅の方に向かって車を走らせた。 駅を過ぎて細い路地に入り更に少し進んだ光景は、 一見どの街にもありそうな商店街の佇まいのそれであった。 でも、僕が訪れたかったのは他でも無いこの通りなのだ。 この店の扉を開ける瞬間の僕は、二週間前のあの店の時と 同じ位の高揚感でありながら何処か異質な空気も流れていた。 あの時には感じなかった無言のプレッシャーと言ったら良いのか、 今回は此処でどうしても手に入れなければならない“あるモノ”が・・・ そうそう、彼の日記でも触れていた目の前にある豆腐屋さん・・・ 実際に目の当たりにした僕は、初めて目にするのにもかかわらず、 まるで彼と一緒に訪れたかの様に妙に納得してしまったのだった。 非常に奥行きのある店内だった。 この細長いスペースの各所其々に個性があって、 座る場所によって全く趣きが違ってくる様に思われた。 淡いスカイブルーの壁の奥に構える存在感のある白い街灯用のランプ。 非常に印象的な光景で、僕の心の奥底を優しく照らしてくれる様に思われた。 僕が本当に照らしてほしいのは、今迷い悩んでいるこれからの道筋・・・ いや、此処まで来たのだから、もう迷いなんて無い筈なのだけど・・・ 一番奥の部屋は確か彼のお気に入りのスペースであった。 この部屋のテーブルで、“例のアレ”も撮影していたんだよなぁ・・・ 今にして思えば、僕もあの方と同じテーブルで、同じアングルで、 そして同じラテアートにしてもらっても良かったのかも知れなかった。 でも、どういう訳か此方のカウンターに座ってみたかったのだ。 あの、もう芸術としか言いようの無いラテアートの技術をより近くで 拝見してみようという衝動に駆られていたのは勿論事実なのだけれど。 この店にやって来た経緯とラテアートに対する思い入れ、また、 どうしても撮影させて頂きたい理由など、矢継ぎ早に発せられる 僕の申し出にも(彼に関しては幾分呆れ気味でもあったのだが・・・) 本当に快く応じて下さった店主を含めた三人のスタッフには、 この場を借りて心より感謝の意を述べておきたいと思う。 だって、クオリティーの高さは元より、こんなにもロマンティックで 様々な想いに浸っていられる芸術的で可愛らしい“アート”を僕の・・・ 「Elvis Cafe」のプロフィールに惜しみなく提供してくれたのだから!! 一体、どれくらいの間このカップを見つめていただろうか。 「冷めるよ!」って促されてはじめてハッと我に返った僕は、 やっとカメラのシャッターを切り始める始末だった・・・ 以前、雑誌か何かで読んだあるバリスタの言葉に、 「カフェラテは出来たてが一番美味しい」というのがあったけど、 もしそうだったなら、この店のカフェラテは本当に罪つくりだね・・・ だって、きっとこれからも僕には出来たては飲めないから・・・ 漸く今回の二つの目的を完遂した僕は、今日何も食べていなかった事に 気付いて、不思議な事なんだけどその途端にお腹が空いてきた。 そこに運ばれてきたのが、この「フレンチトースト」だった。 バターの香りに包まれたふんわりとしたトーストにたっぷり染み込んだ とろけるような甘さが僕をこの上なく幸せな気持ちにしてくれていって・・・ なぜ彼がイチオシしていたのが十分納得できたひとときだった。 花の香りの“イロハのイ” やっと見つけた“イロハのイ” まだまだ最初の“イロハのイ” 自分から提案した事とは言え、これから先の長い長い道のりは 僕自身全くイメージする事もできず、のんびりとこの素敵な空間で 甘いフレンチトーストを頬張りながら可愛らしいアートがゆっくりと しぼんでいくのを勿体無さげに唯ぼんやり眺めているのだった・・・ みなさん、こんにちは♪ ( *・∀・)ノ 突然の事ではありましたが、この場をお借りしまして ブログのお引越しをしました事を報告したいと思います! これまでのCindy日記は主にカフェ&パン屋さんを 紹介するブログでしたが、今度のテーマはズバリ・・・“お花”なのです!! もともと草花の写真を撮りたいなぁ~って想いはずっと持ち続けていたのですが、 ミクマリさんをはじめ、Cindy日記に登場するお店の周りには素敵な自然が いっぱいあって、ブログを新しくするにあたって是非ともお花紹介のブログに しようと決めておりました~~!! o(≧∇≦o)(o≧∇≦)o ♪♪ ただ、野生の草花の名前を同定するのは実際にやってみると本当に難しく、 迷いながら本やネットを調べまくっています・・・(〃゚д゚;A アセアセ・・・ ですので、もし名前が違っていましたら・・・ 大変お手数ですが是非ともCindyに教えて下さい!! (*≧∇≦)ノ それでは、これからも宜しくお願い致します♪ m(_ _)m #
by mary-joanna
| 2009-07-24 18:19
| 色は匂へど
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