ニ.霧晴れて雲もとぎれて晃笑む

ダヴィッドさんに元気を分けて貰った7月初旬から中旬にかけて、
ハンゲショウの他にもう一つ僕の心を大きくときめかせた花があった。

それは、僕が栃木県に住んでいる人間だから?
それとも、この時期にしか会う事のできない花だから?

そのどちらも当たっていると思うけど、視界を覆う様に広がる
一面の緑の傾斜に咲き誇る仄かに淡く黄色い花弁の可憐な花々。
本や写真で見たあの印象的な光景が忘れられなかったのかも知れない。


今回の“お花ツアー”の計画には、何と僕の家族も同行してくれる事になった。

計画していた12日がたまたま日曜日で、しかも僕の誕生日という事もあったが、
これまで行った数回のツアーでは“元祖Cindy”ばりの計画を打ち明けた段階で
却下される憂き目に会って来たのに対し、今回に関しては場所と目的の両方とも
家族(両親と4歳年上の姉の3人)の関心を引いてくれる結果になったのだった。

そしてツアー当日、普段車で移動している僕が選んだ交通手段は・・・


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たまには車窓からの景色をぼんやりと眺め、家族と語らいながら
期待に胸を膨らませてのんびり旅をするのもいいんじゃないかなぁ?


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自然と歴史の玄関口でもある東武日光駅の直ぐ隣りに目を向けると・・・


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・・・交通手段を問わず、日光を訪れた際に僕が常に立ち寄る店がある。

嘗てこの日光が西洋人の避暑地としてその名を馳せていた明治の頃に
建てられたアメリカ人貿易商の別荘を改築した有形文化財の建物をはじめ、
市内は勿論、栃木県内、いや、全国の数多くのファンをも唸らせるレストラン。

そのレストランで饗されるスイーツのテイクアウトショップ&カフェが、
東武日光駅の傍に店舗を構えているのだ。

和と洋の、更には歴史と文化の貴重な遺産でもあるメインダイニングを
イメージしたその内外装には、同店のプライドや拘りが随所に感じられた。
結局彼の日記には登場しなかったけれど、本当は気になっていたんじゃない?


此方のお店でスイーツを購入したのは実は帰りの事であって、
駅に降り立った僕ら一行は目的の地に向かう為に更なる移動手段に・・・

そう、霧降高原行きのバスへと乗り換えたのだった。


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バスに揺られる事、数十分。
辺りはすっかり山の景色へと様変わりしていた。


僕の今回の一番の目的は何と言っても此の地がその名の由来にも
なっているあの花の群生をその目に焼き付けたいというものであったが、
その場所に近づくにつれて一抹の不安も無い訳では無かったのだ・・・

この日12日は、毎年開かれているこの花のキャンペーン最終日でもあり、
まさにお花畑と呼ぶに相応しいピーク日からは一週間以上過ぎているとの事。

更にこの日は下界の天気も思わしくなかった為、僕が期待していた
あの光景を見る事ができなかったとしたら・・・それにこの花のイニシャルは・・・

どうやら到着したみたいだ。
バスの停留所から道路を挟んだ反対の場所にある第1リフトに乗り、
やや急にも感じられたスロープをゆっくりと上がった僕らの眼前に広がるのは・・・


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霧降高原キスゲ平


標高約1600mの小丸山の斜面に群生する黄色い花々。
その花たちを眼下に、優雅な空中散歩を楽しめる手段は・・・


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こうしてみるとやはりピーク時の一面に広がる黄色の絨毯とまでは
いかないながらも、此処までやって来た甲斐は十分にあった。

3つのリフトを乗り継ぎ一番上まで行ってみたが、一番てっぺんは
7月中旬とは思えない肌寒さで、長袖のシャツの上から両方の腕を
さすりながらこの花の繊細さを自らの肌で感じる思いだった。


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場所によっては黄色い印象絵画を連想させる風景もあり、
その幻想的な光景に思見惚れると言っても過言でなかった。

そして今回の主人公こそ、この黄色い花・・・


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「ニッコウキスゲ」


栃木県に住んでいる僕が今回の試みを始めるにあたって
必ず実現させてみたいと思っていた計画の一つでもある・・・

地元栃木県の地名に因んだ植物の紹介。
そして、その願いは4回目にして早くも達成されたのだ!


花弁の表面のほんのり艶やかな肌にうっすらとのった淡いイエロー。
その一枚一枚が、まるで星の様に緩やかな弧を描きながら広がっていく。
星の中心に見える6つの葯が大きく開いた黄色い花弁の波の上で、
優雅に漂っている様にも、必死で彷徨っている様にも感じられた。

清楚な印象を保ちながらギリギリのラインで艶かしさすら感じる質感は、
これまで本や写真、パソコンの画面でしか見た事の無い僕にとって
ちょっとした・・・いや、十分にカルチャーショックを覚えたものだ。


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あっ、また君と出会えるなんて・・・
少し前までは君の姿をちらっと見ただけで恐れを為して逃げ回っていたのにね。


場所の名称からニッコウキスゲばかりに目がいってしまいそうだが、
標高1000mを優に超える高原ではこの時期様々な草花が楽しめるのだ。


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しかも、栃木の地名を冠する植物はニッコウキスゲだけでは無かった。


栃木県に多く生息する事からその旧名が与えられたらしいが、
花弁の中心にゆくにつれて徐々に濃い紅色に染まる非常に小さな花が
鋸歯状の葉をふんわりと覆い、やわらかに染め上げているのが印象的だった。


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まるで雪の結晶を散りばめたミニ・クリスマスツリーを見ている様な、
可愛らしい小さな白い花は初夏の高原に更なる清涼感をもたらしてくれた。

その科名からも何処かロマンチックな“雪”の情景を連想してしまう・・・


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ヨツバヒヨドリソウだろうか?

真っ直ぐに伸びた小豆色の茎のてっぺんに、四肢に広がる鋭い若葉に囲まれた
この花特有の小さな筒状花の蕾がまるで宝石の台座に守られた薄ピンク色の
ジュエリーの様であったが、同時に“チュッパチャップス”にも見えてしまうのは、
僕も彼のブログに影響され過ぎた証拠なのだろうか・・・

両方とも同じくらい可愛らしい例えだと思ってしまうのだが・・・


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で、存在感のある此方の花に至っては、同じ“花”でも・・・“カリフラワー”!!

閑話休題・・・

これだけの花なので恐らく辺り一帯に振り撒く芳香もまた格別だったのだろう。
この花のたっぷりの蜜を求めて虫たちが引っ切り無しに飛び回っていた。


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ユリの花が一輪、草むらの中で凛とした佇まいを見せていた。

透き通る様なオレンジ色の非常にシャープなフォルムは、
まだ若さを感じさせながらも何処か風格すら漂わせていた。

燃える様な情熱的な外観と熟し切っていないフレッシュな感覚、
それでいて何となく冷静で冷めた様にも見える一輪のユリの花に、
僕はすっかり魅了され、家族に促されるまでその場を離れなかった。


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小さな小さな白い花はお行儀良く列を成し、四方八方へと広がってゆく。
まるで、一瞬の流れ星の細い軌跡を時間を止めて見ているかの様に・・・

ウットリと眺めていると、これはヤマブキショウマだよって教えて頂いた。


高原の天気は変わり易い。しかも、霧降と名の付くこの地なら尚更の事。
ポツポツと降り出した雨を潮時に、僕ら一行は下山する事にした。


で、勿論先に紹介したお店に寄ったのは言うまでも無い。



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「カボチャのプリン」


チーズケーキが有名な此方のスイーツだけど、僕のお気に入りはこれ。


大き目の真っ白な陶器の器にたっぷり入った綺麗な山吹色と
清涼感溢れる爽やかなシナモンの香りは・・・

今日出会ったニッコウキスゲと高原の空気を思い出すよ!


丹念にカボチャを裏漉しして作り上げた様なぽってりとした舌触り、
そんなピュアな滑らかさの中から感じる自然なカボチャの甘み、香り。

そして素朴な風合いの、一番最後に漸く登場してくるクリーミーさは、
シンプルでノスタルジックな雰囲気に満ちていながらも、他の店では
決して味わう事のできないこの店ならではの個性も存分に感じられる。

重厚な歴史の中にオリジナリティーを忍ばせるなんて・・・
まるでこのレストランそのものが凝縮されているじゃあ無いかい?


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更に「フィナンシェ」や「ヌガー」に・・・


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コロコロっとした「スコーン」もお土産に購入して、
少しずつこの一日を思い出しながら頂く事にしようかな?

そう、あの緑の中に可憐に揺れる黄色い花弁の事を・・・


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まだ4話目ではあったのだが、最近めっきりと減ったコメント欄の数字が
一つ増えている事に気付いた僕は、特に何を期待する事無く開いてみた・・・

そして・・・言葉を失ってしまったのだった・・・

だって、そのコメントの主は・・・Edgerと名乗っていたのだから!!
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# by mary-joanna | 2009-08-04 02:23 | 色は匂へど

ハ.揺るぎない信念

  へぇ、君が“ミニ”Cindyかぁ・・・それにしても花を選ぶなんて・・・
  まぁ、彼の後を継ぐのは大変だろうけど、頑張れよ!!

  初めまして、“ちっちゃな”Cindyさん♪
  綺麗なお花の写真、楽しみにしています!!

  本当に“世代交代”しちゃったんだね・・・
  でも、案外本人が成りすましているだけだったりして・・・
  あっ、冗談だよ! だって写真見れば分かるから(なんて・・・)
  とにかく“二代目”だったら、気合入れた写真を期待しているよ!



“ミニ”・・・“ちっちゃな”・・・“二代目”・・・

そう、僕の・・・つまりこの“Elvis Cafe”の管理人の名前は・・・


Little Cindy


彼、即ちこの2年間カフェパンブログを綴っていた“オリジナルの”Cindyから、
“Elvis Cafe”を始める際に譲り受けたこのブログでの僕の名前だ。

勿論、そんな厚かましい事を僕がお願いする訳無いし、カフェやパン屋は好きだけど、
彼の様なブログを書くまでの興味や行動力だって持ち合わせてはいなかった。
むしろ彼が載せている写真やそれに添付された文章、またそれらの写真が
ひと繋がりになって完成される物語とでも言うのかな・・・の方に魅力を感じた。

だから、彼とのメールのやり取りの中で彼からこの申し出があった時は
当然の様に辞退したし、実はブログを始めた今でも変更しようかどうか
正直、他の事に手がつかないくらい思い悩んでもいるのだ・・・

じゃあ、何故本当に名乗ってしまったかって?
それは・・・今はまだ・・・


兎に角、ブログの経験の無い僕が彼と全く同じ名前を使用するなんて
本当に無理な話だったけど、何故かこの点に関しては彼も拘っていたのだ。
そんなメールのやり取りが数回続いた後、お互いに妥協し合う事で一致した。

それが・・・“Little”の文字を入れるというものであった。

“Small” Faces・・・“Young” Rascals・・・

60年代のUK&US音楽が好きだった僕は、彼がこの案を持ちかけた際、
少し面白そうかなとも思って思い切ってOKの返事をしたのだった。


でも、僕のブログのコメントやアクセス解析を見る度に・・・
そして、これまでの彼のブログを見直してみる度に・・・

更に追い打ちをかける様に、予定していた植物が中々見つからない不安・・・


そんな、まるでここ数日の梅雨が逆戻りした様な悶々とした日々を
送っていた僕は、思い立って彼の日記で見た“あの街”に行ってみる事にした。


あのパン屋さんであの方に会えばきっと僕のモヤモヤも・・・
そう、あの方のまるで少年の様な屈託の無い笑顔を見れば、
これまで感じてきた諸々のプレッシャーも晴れるに違いない。

彼だって落ち込んだ時にはあの方に会いに行ったじゃないか!!


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Cindyのブログでこの街を紹介する時は、決まって並木道を撮っていたっけ。
まるで何処までも続いているかの様な真っ直ぐに伸びた深緑の放射線を・・・

でも僕が撮ったのは、何の変哲も無い住宅地の路地。
あの並木道から少し入った、公園の直ぐ側の細い道。

でもこの小道だって、可愛い緑に覆われて穏やかな気持ちになってくるんだ。


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小さな公園だったが僕の興味を惹くものが二つ、ゆったりと佇んでいた。

一つは遥か太古の僕らの祖先が時の概念を形にしようとした努力と情熱の証、
もう一つも同じ材質でできていたが、此方を魅了する対象はズバリ、子供たち!!

それまでの僕はどちらも単なるコンクリートの塊として見向きもしなかったけど、
如何してだろう、花を撮る様になってからそれまで気にも留めなかった、
視界の外れに滲んでいた街の景色にワクワクしてくるんだ・・・


そんな公園の外れの、道路との生垣で思いがけず出会ったのが・・・


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今回僕が目指したパン屋さんは、この街に住んでいる人たちは勿論の事、
遠方からも多くのファンがやって来るという人気店であり、他ならぬ彼もまた、
車で数時間かかる栃木県から此処のパンの為に何度も訪れていたのだ。

だから早々に完売してしまう事も多く、お昼過ぎには店仕舞いをする日も・・・
確かに、この春の彼の日記でも午後1時過ぎには全て売り切れていた。

予め予約のtelを入れていたとは言え、早く行かなければとの焦燥に駆られ、
地元の(僕もまた)栃木県を朝の6時に出発し、8時前には既に到着していた。

元々夜型な上に昨夜に限っての残業、また寝坊できないプレッシャーもあり、
眠いというよりむしろ疲れの方がピークに達しようとした丁度その時の、
全く偶然の鮮やかな夏の“華”との出会いにそれまでの眠気まなこも
吹っ飛ぶ様な、スッキリとした気分になれたひと時だった。


このオレンジに輝く大輪の一群に夢中でシャッターを切っていた。
そして、その白くて背の高い花は咲いていた・・・僕のすぐそばで・・・


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そう言えば、肝心な事を忘れかけていたのだ!!
僕が探していたのは「ハ」ではじまる名前を持った花。

イロハの「ハ」なのだった・・・そして、僕はこの花もまたレンズに収めた。


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「ヒメジョオン」


僕はこの花をすっかりハルジオンと勘違いしていたのだ。
視界の外れで忘れられていた様に咲くあの花と・・・

だが、その事に気づくのは家に帰りパソコンの画面を眺めた後の事で、
浅はかな僕はすっかり使命を果たした気分で目的のパン屋さんに急いだのだ。


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まるで此処に来る途中に通ってきた街路樹の様なグリーンの外壁・・・
そのグリーンに良く映えるホワイトの窓枠、そして大きく開かれた木目のドア・・・
手前にはウッドデッキも備わっていて、目の前の木々や畑にも自然に調和した建物・・・


彼が愛して止まないつくばのパン屋さん、ダヴィッドさんのお店に僕もやって来たのだ。


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彼のブログや雑誌の紹介である程度はチェック済みだったとは言え、
実際にダヴィッドさんのパンを目の当たりにした時の僕の気持といったら・・・

非常に洗練されているのに何処か素朴な風合いがあって・・・
本格的なフレンチテイストを感じさせながら何故が懐かしくって・・・

はじめて出会ったパン屋さんなのに、ちっちゃな頃から慣れ親しんだ
近所のお菓子屋さんや八百屋さんの様な温かみを僕は感じていたのだ。


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あっ、「カヌレ」だ・・・よく並べて撮っていたよなぁ・・・


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  コレ、ウチの畑で採れた野菜を使ってます。

そう言ってダヴィッドさんがオススメしてくれたのは、その名も「ポタジェ」。
確かにお店の直ぐ向かい側には周りの緑に囲まれた可愛らしい畑があったっけ・・・


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店内の小さなカフェスペース・・・この風景も彼の日記でお馴染みになっていた。


いま一つはっきりしない一日ではあったが、やはり真夏の暑さは堪える。
まだ朝の早い時間であったので、僕は表のテラスで少し休憩する事にした。


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彼も座ったこのテラス席で、僕が選んだスイーツは・・・


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「マカロン」


UFOみたいな形の可愛らしいまん丸の皮(?)を頬張ると、
一瞬のサクッとした歯触りも束の間、ふんわり軽い食感は
口の中で消えていき、同時に広がってくるねっとりとした甘さ。

これこそ、ダヴィッドさんが拘ったマカロンのクリーム!!
このねっとり感に爽やかな酸味のチョコレートが絶妙のバランスで
マッチしていて、とても心地良い甘さと風合いに仕上がっていた・・・

・・・なんて彼みたいな書き方をしたけど、実はあまりの美味しさに
無心で食べていた僕は、細かく味わう暇無く完食してしまったのだった。


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此処に座っていると、同じ目線で向こうに広がる緑がとても眩しくて・・・
半袖のシャツから出た腕や首筋を優しく撫でるそよ風が気持ち良くて・・・

暫くの間このテラスでのんびり寛いでいた僕の側に、
お店の方が一段落したダヴィッドさんが声を掛けに来てくれた。


  目の前の畑、とても良いですね!


  是非、見ていって下さい。


僕の言葉に笑顔で応えてくれたダヴィッドさんのご好意に甘え、
向かいの駐車場から畑の方を見せて貰う事にした。


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まるで早春の草原にふんわりと舞い降りた季節外れの粉雪の様に、
小さな小さな白い蕾たちは仲良く寄り添って揺らめいていた。

緑の絨毯でのんびり寛ぐ可愛らしい真っ白な一団を、
隣りの畑から悠然と眺めている者たちがいた。


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この夏の間、大地にしっかりと根ざして満面の笑顔でダヴィッドさんの菜園を、
更にはお店に訪れるお客さんたちを見守ってくれる大きな向日葵たち。


彼らのキラキラと輝かんばかりの明るい表情を見ていたら、
何だかこれまでの疲れや不安、重圧がすぅ~っと消えていく気がした。

うん、もう大丈夫だよ!!
ダヴィッドさんに、マカロンに、そして君たちにいっぱい元気を貰ったから!
あと・・・本当はどんなときも僕の直ぐそばで見守っていたあの花にも・・・



つくばから戻った僕は、早速最初予定していた「ハ」で始まる植物を探した。
もう7月も中旬に差し掛かろうとしており、その植物の名前の由来にもなっていた
暦の時期はとうに過ぎていたのだが、ある有力な情報を手に入れる事ができた。

灯台下暗し・・・それは僕の直ぐ近く・・・まさに視界の外れにあったのだ!


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僕が住んでいる市の外れにある市営の公園。公園の名がついているけど、
園内には木道が張り巡らされ、さながら湿地帯を歩いているみたいだった。

僕が当初探していた「ハ」で始まる植物は、こんな感じの湿地や水際に
生息しているとの事だったのだが・・・

勿論、目当ての植物の他にも緑を彩る綺麗な花が咲いていて僕の気を惹いた。


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5枚の花弁が綺麗に開いた黄色い花がちょこんと咲いているかと思えば・・・


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奈良平安の時代から変わる事の無いその儚くも麗しい澄んだ青色は、
万葉集に詠われ、枕草子で嘆かれ、間近でこの薄青色を眺めていた僕は、
昔の人々のこの花への想いを今に伝える歴史の橋渡しに暫しウットリとしていた。


そんな素敵なプレゼントに出会いながらも木道を進んでいくと、
それはおもむろに姿を現した。いや、もう所々に群生していたのだ!!


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「ハンゲショウ」


夏至も過ぎ、これからいよいよ夏も本番、心躍る季節がやって来た。
それなのに貴方は皆に大きな期待を抱かせておいて消えてしまうなんて・・・

化粧もそこそこに慌てて彼の後を追ったけど、もう後ろ姿は見えない。
でも、彼を継ぐ夢や理想を探しさまよう道を照らしてくれるパートナーを見つけた。


そう、この白いハート型に良く似た・・・


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「クロワッサン」


フランス人のダヴィッドさんが作るパンの中で是非食べてみたかったのが、
僕がフランスのパンで真っ先に思いつく、この「クロワッサン」だった。

フランスパンじゃ無いのかって?・・・だって、彼のブログに影響されたのだから・・・
そして、彼も絶賛していたこの「クロワッサン」をひと口頬張ってみた。

“ザクザク”と“サクサク”の中間とでも表現したらよいのか、
絶妙な食感は口の中でバターのほんのり甘くミルキーな風合いと
一緒に、ハラハラと、同時にしっとりとした生地の舌触りのまま消えていく。

この非常に繊細な美味しさをずっと噛み締めていたかった僕だった。


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「有機ズッキーニのキッシュ」


円の中央と占める存在感いっぱいの焼かれたトマトと、
その周りを飾る様に配されたグリーンの夏野菜は・・・

そう言えば、彼のブログを見るまではズッキーニなんて名前だけしか
知らなかったけど、ギュッと詰まったジューシーな食感の自然な甘みは
押し寄せる様な酸味と甘みが堪らないトマトと共に、太陽や大地の下で
元気に育てられた自然の恵みを十分に感じさせて貰う事ができた。


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「ポタジェ」


あのダヴィッドさんの菜園で収穫された野菜で作られるという特製の野菜ピザ。

ズッキーニ、なす、トマトで作ったラタトゥイユの瑞々しい甘さとコクと言ったら・・・
更にこの野菜をチーズでとじて天然酵母のもちっとした生地でピザに仕上げるなんて!


ダヴィッドさんやご家族皆さんで大切に世話をし、向日葵たちも見守った、
大事な大事なまさに「菜園」・・・その驚きの美味しさに唯感動しまくりの僕だった。


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迷っていたかも知れない・・・
失くしてしまったかも知れない・・・
忘れていたのかも知れない・・・

でも、あの白い花も菜園の向日葵もハート型の葉っぱも、
7月のそよ風に揺れながら僕を励ましてくれたっけ・・・

揺るぎない信念をもって・・・


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(特に初期の頃の)バンプ・オブ・チキンのファンで、中でも「ハルジオン」は
挫けそうになったり迷ったりした時に元気を貰っている大好きな曲でした。
(カップリングの「彼女と星の椅子」もサイコ~!!)

今回、花のブログを始めるにあたって、そんな「ハルジオン」の歌詞や
世界観を是非とも紹介したかったのです♪ (あと1曲出てきます!?)

実は今から2年前のCindy日記でも、東京のカフェパンツアーで
挫けそうになった際、この「ハルジオン」がさり気無く登場しています。
そして、元気を貰う為に当時のCindyが向かったパン屋さんがありました!

残念ながら今はそのパン屋さんはありませんが、とっても明るくて
すっごく優しくて、そしてめちゃめちゃパンに愛情を注いでいらっしゃる
ダヴィッドさんからいっぱい元気を貰った“ミニ”Cindyなのでした♪ ( ・∀・)ノ
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# by mary-joanna | 2009-07-31 12:19 | 色は匂へど

ロ.スカボロー・フェア

遂に動き出した僕の計画。

まさか本当に実行してしまうなんて・・・
でも、もう遅いよ、もう始めてしまったのだから・・・


渡良瀬遊水地の草花を紹介する最初の日記が完成してから、
丸々三日間、僕は何度も見直し、推敲を重ね、写真のチェックもした。
(尤もUPしてすぐに数ヵ所の誤字脱字を見つける始末だったが・・・)

後は“投稿”をクリックするだけだったのだが、実はその一押しが
僕にとっては本当に勇気のいる作業だったのかも知れなかった。
中々クリックできずに酒の力を借りようと、夜中パソコンの前で
タンカレーを空けるも、実際に“投稿”したのは職場のデスクの、
休み時間の終了間際の事だった・・・


これまで自分自身のブログを持った事は全く無いばかりか
掲示板ですら殆どコメントを入れた事の無かった僕にとって、
自分で被写体を決めて撮影した写真や一語一句を考えて綴った文章を
不特定多数の人々に見てもらおうなんて、夢にも思っていなかった。

だから仕事が終わるのが待ち遠しかったし、逸る気持ちが抑え切れない
とばかりに帰宅するや否や部屋のパソコンに駆け寄り、スイッチを入れ、
デスクトップに貼り付けてある“Elvis Cafe”のアイコンをクリックした。


反応は・・・あった!!

そう、僕が考えていた以上の訪問者の数と・・・コメントまで!!


この日入っていた5件のコメントは全て僕のブログのスタートを
温かく祝福してくれる内容であり、全く見ず知らずの方々からの
励ましや応援にモニターを前に僕は思わず泣き出しそうになっていた。

でも、それは同時に大きな目に見えないプレッシャーとなって
僕の上に重く圧し掛かってくる様にも思えたのだった・・・


既に動き出した僕の計画。

もう後戻りはできないし、したくもなかった僕は、次の休日、
あの雑誌で特集されていた例の場所へと愛車を走らせた。


まだまだこれから、イロハの“ロ”なんだしね!


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鹿沼の街も此処まで上ってくると四方を緑と山々で囲まれた、
非常に穏やかでのどかな清々しい風景になってくる。

そう言えば、彼のブログにはこんな山間の景色が載る事もあったよなぁ。
前回の渡良瀬遊水地もそうだけど、まさか僕がこんな所に・・・


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視界の先になだらかな稜線を臨み、僕をぐるりと囲んだ様々な緑は、
普段コンクリートの中で生活している僕にとって、とても新鮮に感じた。

そんな中、チューダー様式邸宅の典型とも言えるハーフティンバーと煉瓦を
組み合わせた存在感のある家屋、建物にとても良く映える目の前の芝生、
さらに小道を隔てて広がる草花の園は、初めて此処に訪れた僕にとって
まるでヨーロッパや北米の庭園に迷い込んだ気分にさせてくれた。


そんな庭園に僕が此処にやって来た訳は勿論・・・


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そう、二回目である今回は“食”をテーマにしていた貴方への・・・
大袈裟だけど、僕からのオマージュにしたかったんだ!!

だから、今回はどうしてもこの場所で探したかったんだ、
単なる観賞用の植物にとどまらない、“ロ”で始まる・・・


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春から夏に季節が移り往くにつれ、草花の時期も様変わりを迎えるのかな?
花の落ちた木々の枝にはふくよかな実をつけ始めるものも見られた。

が、やはり此処は華麗な“お花畑”を謳った場所である。
全てが満開とはいかなくても、少し見渡すだけでも・・・ほらっ!!


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Let me take you down 'cause I'm going to ・・・

さぁ、一緒に瞼を閉じてごらん・・・
真っ赤に染まった綺麗な苺の園は、何時までもずっと君と僕の中に・・・

なぁ、ジョン、そうだろう・・・


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シャンと伸びた茎に四方にだらりと垂れ下がった花弁はまさにその名の通りだが、
中央で盛り上がったオレンジ色の頭花と淡いピンク色の花弁の組み合わせは
とっても可愛らしくて、威勢の良さや緊迫感は感じられない・・・

まぁ、どちらも“ハナ”である事には変わり無いのだが・・・


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先程の可愛らしいピンク色の花弁とは、同じキク科の花でも似ても似つかないが、
その容姿と色彩は鮮やかな色彩の花が咲く此方の庭園でも異彩を放っていた。

寄り添う事でしか存在感をアピールできないのだろうか?
いや、決してそんな事は無いよ、皆少し寂しがり屋なんだよね。


ところで、春先からこの季節にかけて、花の周りに決まって先客が訪れていた。


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そうそう・・・

彼は君が集めたモノの方が好きだったみたいだけど、
これからは君自身を撮らせてもらう事にするよ!

恥ずかしがらずにジッとして・・・あっ!!


まだまだ仲良くなるまでには程遠いのかな?


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The rhythm of life unties me
Brushing the hands of time away

心の目でみてごらん、
何が見つかるか分かるかい?

さぁ、心を開いて・・・

まるで機械仕掛けのおもちゃみたいに、
何時までも変わり続ける万華鏡の様に、
永遠に時を刻む時計はくるくると回り続けて・・・

この花を眺めていると、その名前とは裏腹に、
何時しかとても不思議な、タイムレスな感覚に陥って・・・


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この場所にいると本当にタイムレスな空気に包まれている様で、
でも、カラフルな情景に囲まれていて、暫し日常の事を忘れさせてくれた。

そんな非日常の世界にずっと浸っていたい僕だったが、
肝心の目的を達成すべく庭園を後にして建物の方へと向かった。


可愛らしい花々がそよ風に揺られて優しく手を振っているみたいだった。
そんな黄色い花々に見送られた僕がやって来たのが・・・


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そう、この地に到着した際に見かけた印象深いチューダー様式の邸宅。
目の前の刈り込まれた芝生が更にリアリティーと品性を増していた。

まさに、イングリッシュガーデンといった雰囲気に浸っていた。


・・・と、“それ”は突然僕の目の前に姿を現したのだ!!


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「ローズマリー」


細長く伸びる茎から生える無数の葉は小さいながらも清潔感のある
濃いグリーンを纏っていて、皆ピシッと整列している様に感じた。

この後店員さんに実演して頂いたのだが、香り豊かなこのハーブは、
茎を軽く掴んで引き抜く様に持ち上げてみると・・・

その清涼感溢れる爽やかな香りが更に引き立ってくるじゃあないか!!
こんな香りの楽しみ方、彼だって知らなかったんじゃあ無いのかなぁ?


あれっ、でもこのローズマリーには一つも花がついていないなぁ、
ほんのりと紫がかった白くて可憐な可愛い花弁の花が・・・

外の庭園で綺麗な花を沢山撮ってきた僕は、
やや拍子抜けした様に建物の中へと足を進めた。


大事な事に気付かない無邪気な僕は・・・


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建物の中も外観に全く引けを取らない、素晴らしいの一言だった!!

一番端の、角のテーブルからは木の温もりで一杯の店内と、
窓の外に広がる豊かな自然が同時に一望する事ができたのだ。


これだけでも此処までやって来た甲斐があったというものだったが、
折角だったので、どうしても食べたかったこの店ならではの品をオーダーした。


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「フレッシュハーブのサラダピザ」


このお店のメニューこそ、此処がお花の農場と称される所以なのだ。
パスタなどの本格料理からスイーツに至るまで、この庭園で採取された
フレッシュな天然ハーブを使用しているとの事だったけれど・・・

この目にも鮮やかで、非常に華やかに盛られたハーブたちと言ったら・・・
ピザを切り分けてしまうのが本当に勿体無い様な気にさえなっていたよ!!

そんな、まさに庭園をそのまま飾ったピザのトッピングの中でも
ひと際目立っていたのが金蓮花(きんれんか)という食用花だった。
店員さんは“ナスタチューム”と呼んでいたけど、緑の中央に咲いた
一輪の黄色い花は見た目だけでなく爽やかな味に関しても僕の心を捉えた。


ハーブにばかり目が行ってしまったけれど、ハーブの魅力を引き立てつつ
コクのあるとろけるチーズとトマトソース、ふんわりさっくりとした生地など、
ピザそのものとしても最高に美味しかった事を付け加えたいと思う。


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君とは表の庭園でも目が合ったよね。
本当に何時か僕も連れて行ってほしいんだ・・・


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「ハーブティー」


数種類のハーブが絶妙にブレンドされたこのお店オリジナルのハーブティーは、
食後の清涼感をもたらすばかりか、この日の長旅の疲れも完全に癒してくれた。

そして、(最初から忘れかけていたけど)仕事や諸々の事は元より、何と言っても
今現在の僕の頭の中を完全に支配し切っている“彼とElvis Cafe”にかかる
プレッシャーをも記憶の片隅に追いやってくれて、此処でのひと時であるけど、
すっかりとリフレッシュされた心の隅から清々しい気持ちになった気がした。


帰る際に入り口付のローズマリーに別れを告げようともう一度
カメラのファインダーを覗いた瞬間、先程店員さんが教えてくれた
何気無い一言が僕の頭を過ぎった・・・

  あら、ローズマリーの花はもう遅いわよ!!
  花を見るのならその時期に来なければ駄目なのよ。


そう言えば彼だって旬のスイーツやパンに拘っていたっけ・・・
それなのに、僕は安易に決めてかかっていたのかも知れない・・・


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えっ、それにしても如何してすぐにアクセスばかりかコメントまで来たかって?

それは・・・つまり・・・
そう、実はこの、僕のブログ“Elvis Cafe”は・・・


他ならぬ“彼”に紹介されたんだ・・・しかも、僕のニックネームは・・・
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# by mary-joanna | 2009-07-28 01:09 | 色は匂へど