「ほっ」と。キャンペーン

<   2009年 12月 ( 6 )   > この月の画像一覧

ケ.White Christmas

ひと頃は忘れ去られたかのような存在になっていたこのElvis Cafeのコメント欄であったが、
先日の“ブライアンのカフェ”と再びリストの店を紹介した事により、俄かに賑わってきたようだ。
尤もその数たるや世間のブログから見れば取るに足らない微々たるもので、しかもその大半は
招かれざる客たち ~ 例のグループ及び(恐らく)その関係者 ~ による鍵コメントであったが・・・

そんな折り、更に僕の心を大きく揺さぶるコメントがそっと寄せられていたのに気付いたのは、
この記事をupする頃には既に始まっているであろう、僕が講師として勤務している学習塾の
冬期講習の準備で通常より遅く帰宅した、12月も後半に差し掛かった某日の夜中の事だった。
先日upしたリスト2軒目の店となる“えんや”の記事にやって来た何とも不可解な鍵コメントから
更に一日が経っていたが、此方のコメントの送り主は馴染み(2回目であるが)のある名前だった。

そう、このコメントの送り主こそ僕がその返事を待っていた人物・・・つまり、ハニーその人だったのだ。


 返事が遅れてしまって本当にごめんなさい! m(_ _)m
 ある事情でパソコンを見ることが出来ませんでした・・・
 Littleさんの宇都宮のレポ、楽しく拝見させてもらいました♪
 しかも、3回も紹介してもらえるなんて・・・(〃▽〃)ノ

 お礼と言っては何ですが、実はプレゼントを予約しておきました!
 Littleさんに是非とも受け取って頂きたいのです!! ヽ(≧▽≦)ノ

 ただ・・・そのプレゼントには引き換え期間が決まっていてまして、
 しかも、そのお店は(またまた)宇都宮にあるのです・・・(#^.^#)ゞ
 急ではありますが、予約の締め切りまで時間があまりありませんので、
 お手数ですがご覧になりましたらなるべく早くご返事頂けないでしょうか?



前回のコメントもそうだったが、相変わらず唐突な方だなぁ・・・一方的な決定への不快感はおろか、
呆れる事さえ忘れて半ば感心しつつ、コメントの最後に付け加えられたプレゼントの引き換え期間と
その店の名前を見た僕は、驚きと嬉しさのあまりパソコンのモニターを前に思わず声をあげてしまった。

勿論、直ぐに了解と感謝のコメントを入れた。加えて指定された期日から都合の付く日を添えて・・・
そして、待つ事数日・・・いよいよ約束の日の朝がやって来た・・・うん、とても良い天気の朝だよ!!


e0183009_13211280.jpg



50・・・4・・・123・・・自宅のある足利からこの宇都宮の東の外れまでは、大きな国道を
三つも乗り継いで行かなければならず、家を出発してから一時間半は過ぎようとしていた。

その3番目の国道からこの真っ直ぐに伸びた路地に入って暫く進むと見えてくるのが・・・


e0183009_13212924.jpg



そう、“暮らしのリズム”の地との分岐点にもなっているこの坂道へとやって来たのだ。

この前やって来てからもう3ヵ月が過ぎたが、早いもので季節は秋から冬へと移ろいでいた。
あの時は坂道の周りに沿って青々と雑草が生い茂り、イガイガの栗の実や何処か切なさをも
感じさせる一輪の彼岸花、直ぐ側には美味しそうな実を沢山付けた柿の木等が出迎えてくれた。

まだそれ程経っていないかとも思っていたが、目の前には寒々とした冬の光景が広がっていた。
花は枯れ、木々は実を落とし、地面は所々剥き出しになって・・・でもこれも自然の大事な一コマ、
訪れる度にまた違った姿で出迎えてくれ、そして来年には思い出だった光景に再び出会えるのだ。


少々の間感慨に耽っていたが、この分岐点に暫しの別れを告げて坂道を上ると、まるで迷路の様に
縦横に細い路地が入り組んだ住宅街へとやって来る。此処は地図やナビも役に立たないとばかりに
入り組んでいて、初めて訪れた際は目的地に辿り着けるばかりか此処から出られるのかと本当に
頭を抱え込んだものだったが・・・そうこうしながらも、細い路地をクネクネと進んでゆくと前方に・・・


e0183009_13215511.jpg



そう、目の前には“ウッドハウス”と呼びたくなる非常に印象的な外観の2階建ての家屋が見えてくる。
そして、建物の向かい側にある駐車スペースに車を停めると、隣りでは既に“先客”が寛いでいた。


e0183009_13221282.jpg



キャロル、久しぶりだね・・・隣りに彼氏を連れているなんて、やっぱりクリスマスだね・・・


e0183009_13223578.jpg



スカイブルーのボディーに寄り掛かっていたのは可愛いイラストの看板。
この前お邪魔したInside Garageでは現在・・・Cankichi工房が来ているのか!


気合が入りすぎてかなり早めに到着してしまった為、2階がオープンするまでの暫くの間、
可愛いキャロルたちを眺めたり近所の店まで散歩をしたりしながらのんびりと過ごしていた。

そして定刻より少し前に店主が下りてきて、オープンになったので2階へどうぞと案内された。


e0183009_13574689.jpg



忙しそうな足取りで階段を駆け上がる店主に続いて僕もこの階段を再び上がる事にした。

やや急な錆びた階段を一段一段上る度に響き渡るカンカンとというやや甲高い鉄の音。
恐らく他の場所で聞いても何て事は無いのだろうが、何故か此処では心地良いリズムを
刻みながら僕の耳を刺激してくれて・・・階段を上るこの間にもだんだんワクワクしてくるんだ!


e0183009_13581497.jpg



Cucina Vegetale Maruyoshi


クッチーナ・ベジターレ・・・新鮮な野菜を美味しくモリモリと頂ける店の証なんだ!
ほら、その証拠にこのドアを開けて店の中に入ると一番初めに出会うのは・・・


e0183009_13592264.jpg



そう、入り口で出迎えてくれたのは・・・地元栃木で採れた新鮮な野菜たち!!

それにしても、人参の鮮やかで綺麗な朱色と言ったら・・・逸る気持ちを抑えつつ、
通路の先に目を向けると、先日一瞬で僕を魅了したあのダイニングが静かに待っていた。


e0183009_1402576.jpg

e0183009_1404588.jpg



真冬の晴れた昼時には、2階の大きな窓からやや低めの陽射しが眩いばかりに差し込んで、
午前中ずっと外の空気に晒されて冷え切った僕の身体がポカポカしてきて気持ちがいいんだ。


それに何と言っても、これからの時期は・・・え~っと、あった!!


e0183009_140558.jpg



Cindyが初めてこの店を訪れたのも確か12月に入った肌寒い昼の事、
確か向こうに見える赤い達磨ストーブにも煌々と火が灯されていたっけ・・・

さっきのキャロルもそうだけど、あのコロッとしトコがまたキュートなんだよ。


そして、この明るく開放的なダイニングは直ぐにお腹を空かせたお客さんで一杯になる。


e0183009_1412528.jpg



一人でやって来た僕は、店主の計らいで気兼ねしなくて済むカウンターの席へと案内された。
実はもし許されるなら是非カウンターにして欲しいと、店主にお願いしようと思っていたのだ。

さあ、今日のランチも決まったし目の前のカウンターの様子を拝見させてもらう事にしよう。
何と言っても此処からの眺めを独り占め出来る事こそが、カウンター席の特権なのだから!


e0183009_1415438.jpg



何枚も高く積まれた皿や食器、色とりどりの洋酒やワインの瓶、吊り下げられたグラス、
そんなキッチンの必要な全てのものが一枚の絵の中にギュッと収まったような光景・・・

そう、このワクワクしてくる光景こそ、僕が思い描く“クッチーナ”のキッチンなんだ!!


e0183009_1433945.jpg



この店の拘りは食材だけには留まらない・・・カウンターにはさり気無く自家製のオイル。

さて、いよいよ今日のランチの最初の料理が運ばれてきたようだ。


e0183009_144234.jpg



マリネした黄色人参のサラダ


ボリュームも満点のシャキシャキの瑞々しい白菜とたっぷりかかったザクザクの香ばしいシリアル。
マルヨシサラダ定番の名コンビは、何時食べても新鮮な驚きだけれど、あのシリアルの間から
見え隠れしている艶やかに潤んだ黄色の・・・もしやあれが先ほど説明された“黄色”人参・・・

絶妙に冷やされた黄色い野菜はもぎ立てのフルーツを冷蔵庫で冷やしてそのままカットしたような、
フルーティーな瑞々しさと柔らかさ、まろやかな口当たりと仄かな甘みを感じながらとろけてゆく。

これは本当に人参なのかい?人参特有の、あの独特の臭みが全く感じられずすっきりとしていて、
僕の(豊富とは言い難いが)人生の中でも未体験の美味しさ・・・人参の概念が変わった瞬間だ!



e0183009_1441986.jpg



季節野菜のミネストローネ


熱々の真っ赤なスープをひと口すする度にポカポカと体の芯から温まってくる。

トロリと溶け込んだトマトのコクと酸味は濃厚でありながら一方でさっぱりとした味わいで、
スプーンを持つ手が止まらない。艶やかなトマト色のスープの中から顔を覗かせているの
ゴロゴロっとたっぷり入った滋味溢れる冬野菜たち。牛蒡、大根、ジャガイモ、サツマイモ・・・

それぞれの野菜がそれぞれの持ち味を感じさせながらもスープと一体になって溶け込んでいて、
スープの味わいを更に一層深いものにしてくれていた。そしてもう一つ・・・スープには赤い人参!!
トマトのコクに負けないようにしっかりと人参の旨みが楽しめるばかりか、お互いが調和して美味しい。


丁度この“温かい気持ちになれるスープ”が恋しくなっていたんだ・・・こんな冬の寒い日には・・・
さて、いよいよ今日のランチのメインディッシュがやってくる頃だが、実は此処に今日の拘りがあった。


e0183009_1039158.jpg

e0183009_1451142.jpg



圧力煮込みした子持ち鮎と芳賀町産キノコのプッタネスカ


今回此方の店を紹介に際して、僕は自分自身にある一つのテーマを課す事にしていた。
唯でさえイロハ順のイニシャルの花と共に紹介するという“難しいお題”を出していたが、
この日記にはもう一つ、如何しても拘りたかったテーマがあったのだ・・・それは・・・

僕の地元、“栃木県の魅力を伝えるクリスマス”の紹介をする事だった。そんな折、ハニーからの
サプライズプレゼントは、まさに僕の考えを察知していたかのようなタイミングで届けられたのだった。


栃木県人の僕が幼い頃から慣れ親しんできたあの鮎の、全く未知なるブラン・ニューな体験!!
目の前に置かれた大きな白い皿の中は赤と緑に彩られており、まさにクリスマスの色彩ではないか。

ウキウキした気分で湯気の立ち上る真っ赤な皿にフォークを運ぶ。先ず最初に刺すのは勿論・・・
柔らかく煮込まれた鮎!ぶつ切りにされた身のふわふわした食感から広がる鮎の爽やかな風味、
淡白ながら深い味わいが十分に感じられ、頬張る毎にホクホクとした食感と鮎の旨みが堪能出来る。
大きく孕んだぷくぷくっとした卵はプチプチとしながら口中に広がって溶けていき、更には中心の骨まで
柔らかくて、その香ばしい風味と一緒にバリバリと食べる事が出来た。そんな鮎を一層美味しくするのが
ジューシーで濃厚なトマトソースであり、鮎の仄かな苦味と香ばしさが染み込んで旨いソースになっていた。

ゴロゴロと入った“あの芳賀町産の”プリプリの肉厚キノコを噛むとキノコの旨みがジワァ~と広がり、
さらに豊かになったトマトソースがシコシコの太麺パスタに良く絡み付いて口の中に押し寄せる・・・

この店のマエストロと隣り街のマエストロ・・・仲良しな二人の天才が切磋琢磨しているからこそ、
何時訪れてみても見た事も聞いた事も無い全く新しい衝撃と感動が、此処にはあるんだよね・・・
これぞ僕が如何しても紹介したかった地元栃木県の素敵なクリスマス・・・いや、まだあるんだ!


そう、デザートを頂く為に此方のカウンターを後にして、1階のカフェへと向かう事にした。


e0183009_1454064.jpg



錆びた鉄の階段を下りた所に見え隠れする、あの良く見慣れた赤い箱は・・・


e0183009_146502.jpg



RHYTHBLE


クリスマスも勿論だけど、もう今年もあと僅か・・・そう言えば、年賀状の時期でもあるんだよね。
小鳥クン、今年はキミに縁があったけれど、これからみんなの所まで年賀状を運んでくれるかい?

みんなが幸せな新しい一年を送れるような、素敵な新年の挨拶をのせて・・・


e0183009_1475957.jpg

e0183009_1481811.jpg



サンタさん、このRHYTHBLEにはアナタの他にもワクワクしてくる“赤と白”があるんだ!

それはね・・・


e0183009_15341051.jpg

e0183009_153604.jpg



“キッコーパン”の赤と白のパンの棚!!

今日はどのパンにしようかな?・・・あっ、この前食べたアレがパンになってる!!


e0183009_15365215.jpg



2階は“赤”で、こっちは“白”・・・クリスマスの雰囲気にぴったりだよね・・・


e0183009_15372446.jpg



1階にはRHYTHBLE専用のカウンターがあって、クラシックショコラやマルヨシプリン、
その他にも沢山の美味しいパンとスイーツがこのカウンターから運ばれてくるんだ。


そして今回、僕は此方のRHYTHBLEの方で席の予約を入れていた。
そう、前回涙を呑んだ、彼のお気に入りのあのコーナー・・・


e0183009_15395695.jpg



このストライプのソファーこそ、RHYTHBLEで僕が如何しても座りたかった席なのだ。

ミッドセンチュリーを連想させるグリーンとホワイトの細いストライプのファブリック。
隠れ家みたいな所に置かれた何処かレトロでモダンなソファーの座り心地は・・・
窓からの緩やかな日差しを浴びながらゆったり出来てとても気持ち良いよ!

そうそう、ゆったりしていると言えば・・・


e0183009_1544413.jpg



ポインセチア


クリスマスには華やかな雰囲気を更に盛り上げてくれる真っ赤なキミは欠かせない・・・
んっ、でも・・・“ポインセチア”と“ゆったりしている”って、何の関係があるんだい?



e0183009_15453768.jpg



・・・ポインセチアのベッドでゆったりするのもいいけれど、そろそろ起きて年末の大掃除だよ!


e0183009_1485927.jpg



やぁ、ジョン、それにポール、楽しそうだね!・・・そうか、此処ではずっと一緒だね・・・


e0183009_15465522.jpg



遂に窓際のソファーでデザートを頂く事が出来るんだね・・・夢がまた一つ・・・


e0183009_1548270.jpg



ココファームワイナリーのぶどうジュース


ワインで乾杯!っていきたいところだけど、車でやって来た僕のドリンクはこのぶどうジュース。
でも、単なるぶどうジュースじゃあないんだ・・・だって、ココファームは僕が住んでいる街の、
そう、足利にあるワイナリーなのだから!!それに、このクリスマスを祝う為にちゃんと・・・

その前に、このぶどうジュースで乾杯しようか・・・うん、すっきりで、でも濃厚で・・・美味しい!!


e0183009_15484293.jpg



りんごの赤ワイン煮とチョコプリン


真っ白な器にちょこんと乗った真っ赤な苺はまるでろうそくに灯された炎みたい。
添えられたグリーンもとても鮮やかで・・・可愛い可愛いクリスマス・スイーツ。


説明は受けていたけど見えなかったのでそれほど気にならなかったんだ。
でも、スプーンを刺した瞬間にフワッと広がってくる赤ワインの芳醇で甘い香り。
苺とクリームとクッキーに隠れていたけど、ワインで甘く煮込まれているリンゴの
シャクシャクっとした歯触りの中から広がるジューシーな風味にキュンとなりそうだよ。

しかも、リンゴの下には滑らかな舌触りのチョコプリンが隠れているなんて・・・
プリンのつるんとして舌先に吸い付いく感触とミルキーな風味、仄かなチョコの甘さ・・・

ちっちゃな可愛いカップの中に、沢山詰まった甘いご褒美・・・まるでサンタさんの袋みたいに・・・


e0183009_15523996.jpg



おやきカレーパン


あの“マルヨシ特製かぼちゃのミルクカレー”が入ったおやき風カレーパン。

前回の訪問で僕がチョイスしたメニューこそ、Cindyも初めてこの店を訪れた際にも
数ある最高のメニューから“指名”した、この“かぼちゃのミルクカレー”に他ならなかった。
その特別思い入れのあるカレーが何とカレーパンで手軽に頂けるなんて、嬉しいじゃないか!

まるで大判焼きのような円柱型の表面にはうっすらと焼き色が付いて食欲がそそる。
パリッとしたかと思うと中の生地はふっくらとした味わいでそれだけでも十分美味しい。


e0183009_15531476.jpg



でも何と言ってもこのパンの主役と言えば、中に入った“かぼちゃのミルクカレー”なのだ!

そんなミルクカレーは勿論パンとも相性は抜群、かぼちゃのこっくりとした甘さに
ピリッと辛いカレーのアクセントがミルキーに溶け合って、パンの中に収まっていた。
更に可愛らしいサイズのパンにもかかわらず、かぼちゃがゴロっと入っているなんて・・・

片手で持てる“マルヨシ特製かぼちゃのミルクカレー”・・・これも嬉しいサプライズだね!!



さて、ハニーが僕の為にオーダーしておいてくれた“プレゼント”というのは・・・

まぁ、時期が時期なので大体の察しはついていたけれど、それならば尚更、
この店での“プレゼント”というのは僕にとって最高の贈り物となった。


e0183009_1623497.jpg

e0183009_163230.jpg

e0183009_163251.jpg



苺のブッシュドノエル


この日の為に彼女が選んだ“プレゼント”は・・・大好きなRHYTHBLEの特製ノエル!!


真っ赤なお山ががとってもキュートなコロコロ苺は甘酸っぱいけど何だか切ない。
ふわふわしていてとってもしっとりなショコラの生地は優しい甘さで、でもほろ苦い。
雪のように白いホイップクリームは、ぽってり&まったりなのにさっぱり感もバッチリだ。

まるで絵本に出てくるお菓子の切り株、ママの手作りの温かさが伝わってくるような、
見ていて思わず顔がほころんできそうな、可愛いらしさでいっぱいのショコラのノエル。

いつもよりちょっぴり厚めにカットして、熱い紅茶をお気に入りのカップにたっぷり注いで、
仕事の事も、ブログの事も、みんな忘れてこの小さなサンタさんを眺めながらまたひと口・・・


そして、他ならぬこの店という事で僕自身が追加でオーダーしておいた物があった。
彼のように“第一楽章”とはいかないけれど、彼の“兄さん”が選んだ、あの・・・


e0183009_1642459.jpg



田舎式醗酵ワイン のぼっこ


この特別な日に、是非とも僕の地元でもある足利の魅力を紹介したかったんだよ!


シャンパンの製法よりも更に古典的な製法で作られた“田舎式”の微発泡赤ワインに
用いられているブドウの品種は、何と国産品種の、その名もズバリ“小公子”との事。

小粒の山ブドウで造られたその香りと味わいは何とも素朴で自然の滋味が溢れる、
そう、自然に山で生っているブドウを一粒もぎって口に含んだ時に感じるみたいな
木の実本来の風味と酸味、渋みが一つになって伝わってくるような印象だった。

しかも、その仄かな野性の果実味が心地良い刺激の微発泡と共に喉に伝わり、
エレガントな口当たりとなって口中に華やかに広がってゆく様は、可哀想な
境遇から持ち前の純粋な優しさでもって幸福へと導く“小公子”そのもの!


キリリと冷やして頂くフルーティーでスパイシーでエレガントな“足利の”赤ワイン。
残暑の夜も良いけれど聖なる夜のディナーと一緒もまた格別だよね、“兄さん”・・・


e0183009_1663559.jpg



「ケショウザクラ(プリムラ・マラコイデス)」


今にして思うと、何だか寂しいクリスマスを送っていた・・・でもそれが普通になっていたんだ。

ハニーから貰ったクリスマスプレゼントは・・・そして彼が教えてくれた夢のような世界は・・・
クリスマスの寒い夜に、僕の心を去年までよりも少し温かくしてくれたみたいで・・・


今回は、そんなクリスマスの夜を“ホワイト”クリスマスにしてくれる真っ白な花を・・・
雪の結晶みたいな形の、可愛い小さな白い花がいっぱい集まったキミたちを・・・

僕に笑顔をプレゼントしてくれたサンタさんに捧げる事にしたかったんだよ!!
そう、まるで雪のように真っ白に“お化粧”したちっちゃなキミたちをね・・・


e0183009_1673294.jpg



メリー・クリスマス!!


記事の冒頭に上記の文句と彼女への感謝の意を添えて、今回のイニシャルの花の紹介と一緒に
今回の僕の素敵なクリスマスのひと時を、ある企画によって予定していた通りの日付にupした。

だが、あまりの嬉しさに肝心な事を僕はすっかり見落としていたのだ・・・それは・・・
ハニー、貴女は一体あのグループの一員なのかい?・・・それとも・・・



本日12/27は、mary-joannaが大変お世話になっている栃木+近県を紹介するグルメブログ、
りりさん&こジジさんの“Let's お届け”による、1ヵ月に一度の「ブログ交流企画」の公開日なのです。

前回まではもう一つのブログで紹介させて頂きましたが、今回はこのElvis Cafeでの紹介となりました。
今回のテーマは『あなたのおうちのクリスマスケーキを紹介』との事で、mary-joannaが思い描いていた
クリスマスケーキとして、そして本企画の趣旨として、是非マルヨシさんのケーキを紹介したかったのです。

(もう過ぎてしまいましたが・・・)一年に一度のワクワクする特別な日・・・
ご覧になって下さったみなさんに・・・メリー・クリスマス&ハッピー・ニュー・イヤー!!
[PR]
by mary-joanna | 2009-12-27 00:26 | 今日越えて

マ.Loomer's room

僕の初めての(そして恐らくは最後の)ブログであるこのElvis Cafeも7月の後半に
イロハの「イ」の花でスタートしてから、早いもので彼是5ヵ月が過ぎようとしていた。

尤も、このブログを始めるようになってから少ないながらも目にするようになった
他の方たちのブログみたいに毎日の更新という訳にはいかず、約半年近くの間で
未だに30回にも満たないスローなペースでの半ば忘れ去られた存在と化していた。
それは、あのCindyの紹介によって言わば鳴り物入りで開始した際のアクセス数や
はじめまして&期待している系のコメントも直ぐに鳴りを潜めて、相当早い段階から
その両方共すっかり落ち着いてしまった事実からも容易に察する事が出来たのだ。

そんな、開始時の好奇の目に晒されていた時期に一段落したのを見計らったかのように
僕にコンタクトを取ってきたのが、Brit Boyやパピヨンといった例のグループだったのだ。
彼等はコメントやメール等の仮想世界に留まらず、実際に僕の目の前に現れてきた・・・
つまり、僕は彼等グループに顔を晒してしまった事になるが、それは彼等とて同じ事。
そしてCindyという共通の目的の為に、遂には彼等との取り引きに応じてしまった・・・



 Littleくん、俺とはあの時VIRONで会って以来だけど、元気にしてた?
 な~んてね・・・君のブログはもちろん毎回チェックしてるから大丈夫だよ♪
 相変わらず本家のCindy並みにあちこち駆け回っているみたいだね~!!

 ところでさぁ、この前パピヨンと交わした約束だけど、どうなったのかい?
 先月、浅草の天国に行ってきたんだね・・・ブログは見せてもらったけど、
 それっきりじゃん!他の店もバンバンと紹介してくれなくちゃ困るよ~!

 しかも肝心のリストの方はほったらかしにして・・・よりによって・・・
 “ブライアンのカフェ”に行くなんて!!あれにはマジでビビったぜ!!
 あまり時間は無いんじゃないか?・・・宜しく頼んだよ、“二代目”さん。



Brit Boyから上記(原文通り)の鍵コメントが届いたのは、同郷のパン好きとして彼ならずとも
何時か訪れてみたいと思っていた、益子町にある憧れの森のパン屋を紹介した夜だった。
早かれ遅かれ彼等からの催促のコメント(またはメール)が来るのは時間の問題だろうと
思いながらも、あえて僕はリスト以外の店を紹介していたのである程度予想はしていた。

尤もジョンと兄との物語のパン屋の直後だというのも、後から考えると感慨深いのだが・・・
実は次にリストの店を訪れるのは、彼等が痺れを切らして催促してからの事にしようと
前もって決めていたので、この結果は想定の範囲であって次に行く店も決めていた。


それは・・・その前に、僕も彼に倣って市販のチョコレート菓子の紹介から始めようか。


e0183009_12203324.jpg



近所のスーパーで購入したこのチョコレートには国産シングルモルトウイスキーの
山崎が中に入っており、チョコの中からフワッと広がる芳醇な香りと奥深い味わいは
まさにプレミアムウイスキーそのもの・・・勿論、チョコレートとの相性も抜群だった。

今回僕が紹介する例のリストに名を連ねた店であるが、そのリストの元にもなった
彼のあの物語でのこの店の紹介もこんなチョコレート菓子の写真から始まっていた。
チョコレートと洋酒の優美なマリアージュ・・・でも、その後の文章の中には、その後の
物語のヒントとも取る事の出来る記述が含まれていた・・・そして、今回紹介した後にも・・・


e0183009_10561442.jpg



彼の紹介では6月半ば、物語の主人公でもある語り手の青年が勤務している学習塾の
1学期中間テスト対策補講も終わったごく平凡な一日の遅い朝、という設定になっていた。
如何やら彼も僕と同じ学習塾の講師という職業に就いていたようだ・・・意外と近くにいるのかな?

それなら、今回僕が訪れたのは2学期期末テスト対策補講が終わった12月の中旬の一日。
ただし、こっちには来月(来年!)早々に控えている高校入試があるので、“緩く”は無いが・・・

そしてやって来たのは県を越えて足利の隣りに位置している群馬県館林市の郊外。
大きな都市という訳では無い為、市の中心から10分も車を走らせると長閑な田畑の
風景が辺り一面を覆っていて、収穫を終え剥き出しになった大地を眺める事が出来た。


見渡す限り雲一つ無い青空の下、視界の先には雑木林が小さく見てとれた。
この感じは、何処となく“あの橋のムコウ側”にも通じなくも無い気がしたが・・・

農道の脇に流れる用水路の側の草むらで、ピンク色に輝く小さな花を見つけた。


e0183009_10563536.jpg



ホトケノザ


先日金山で出会ったヤマツツジは本来は5月前後に花を咲かせるそうで、実際、
駐車場から神社までの決して短くは無い行程で見掛けたのはあの群生だけだった。

今僕の目の前で、まるでお辞儀をしかけているように可愛らしい姿を見せてくれる
この濡れて滲んだみたいなピンク色の小さな筒状の花も、本来の花期は早春との事。

これまで花期の関係で散々奔走し紹介を諦めた僕の苦労などお構い無しとばかりに、
全くの季節外れに可憐な花を咲かせている光景に、やはり無心で魅入る僕だった。


e0183009_1374241.jpg



えんや


件の物語の語り手であるWilliam青年がArnoldとの距離を近付けるきっかけとなった、
“群馬県T市の市街地からやや外れた場所”に位置する喫茶店・・・館林市と既に書いたが・・・

今回僕が例のリストの中から選んだのは、足利市の隣り街にある紛れもないこの店だった。

それは、先の語り手が憧れていた人物と交流を築く事になったこの場所に現を担いで、
僕もあの人物に一歩でも近付きたいとの願いを込めての選択であるのも、無論確かだが。


e0183009_1057122.jpg



自家焙煎珈琲の店


そんな、William青年に大胆な一歩を踏み出させたのは本格珈琲が楽しめる店。

こんな周りに何も無い所に?・・・いや、これまで彼が紹介してきた店には
得てしてこの様なロケーションに溶け込んでいる店が少なくは無かったのだ。


e0183009_117449.jpg



目の前に広がる畑は剥き出しになった黒々とした土が僕の視界を占めていた。
物寂しい風景ではあるが、また新しい恵みに備えてジッと待っている大地の姿は、
この地でずっと続いてきた自然と人間との共同の営みである事を改めて感じさせる。


e0183009_1171966.jpg

e0183009_1173542.jpg



煉瓦を積んだ門柱の上に置かれた鉢の白い花が、時期を過ぎて枯れかけの潅木と
生気を失いつつある芝生の寒々とした庭に控え目で可憐な印象を与えてくれていた。
また春になったら青々とした庭園に魅了される事だろうと思いつつ石畳の上を歩いた。

でも、そんな芝生の中でさり気無く訪問者を出迎えてくれるモノがいたのだ。


e0183009_1184495.jpg



こんにちは黄色い花さん、他のみんなはもう往ってしまったのかな?


石畳の小路からウッドデッキを上がった先に菱形に組まれた木の扉が待っており、
組み合わせた板自体がスタイリッシュなデザインとなった扉がこの店の入口だった。


e0183009_119550.jpg

e0183009_1192283.jpg



キミはそのダイヤの目で、目の前の大地をずっと眺めていたんだね・・・


e0183009_138457.jpg




扉と店内とを結ぶスペースで見つけたのは勿論・・・珈琲の専門店なのだから・・・


e0183009_11111493.jpg

e0183009_11113170.jpg



入ると直ぐにケーキのショーケースが控えていて、その中でまるで宝石のように
キラキラと輝くチョコレートケーキやいちごのタルトに・・・思わず唾を飲み込んでいた。

ケーキに見惚れてしまった僕だったが、振り返った光景は心安らぐ喫茶店の姿だった。


e0183009_1194992.jpg



重厚な木製の天板が素晴らしいカウンターの奥には煉瓦造りの“焙煎室”も備わり、
ガラス越しに覗う事の出来るその部屋の中ではマスターが焙煎をしている最中だった。

更にもう一つ、珈琲専門店に無くてはならないものと言えば・・・


e0183009_11125774.jpg



背面の棚に収まり切らない珈琲豆の瓶がカウンターに沿って綺麗に並んでいた。

生産国はもとより産地によって最良の焙煎が施された、黒く輝く珈琲豆の瓶を
ぼんやりと眺めながら、豆の故郷に想いを馳せ・・・いや、僕が考える事と言えば・・・


e0183009_142134.jpg



恐らく珈琲の店にとっては命とも言える、この存在感抜群の焙煎機・・・
そして、それを証明するかのように与えられた専用の部屋の前には・・・

そう、キミがこの店の看板を背負っているんだよね・・・
珈琲で勝負するって意気込みとプライドを掛けた看板をね・・・


e0183009_12492515.jpg



プライドと言えば、マイセンの歴史と誇りを誇示する双剣のサイン。


e0183009_12503559.jpg



更にカウンターの端のキャビネットに目を向けると、その中で厳重に陳列されていたセットは・・・
金の装飾の描かれた澄んだコバルトブルーに輝くセーブルの、何と気品に満ち溢れている事だろう。

このキャビネットにはセーブルの他にもギャラリーや美術館クラスの逸品がディスプレイされていた。


e0183009_12513181.jpg

e0183009_13371647.jpg

e0183009_13373215.jpg



更にキャビネット以外にも僕の目を釘付けにするプレミアムカップが至る所に置かれていた。


e0183009_13415271.jpg



ドラゴンメロディー


e0183009_13423313.jpg



猟師のほら話


括り付けられた棚で見掛けた、現代マイセンのマイスターの一人であるハインツ・ヴェルナー氏に
よって息吹を吹き込まれた、まるでおとぎ話のワンシーンを見ているような作品にも出会えた


インドの花を筆頭に、マイセンの栄華を極めたマスターピースが所狭しと並べられており、
それは正しく宝石や美術品が放つオーラを帯びた輝きにも全く引けを取らないものであった。

これまで紹介した作品も勿論そうであるが、この他にもマイセンには花をモチーフにした作品が
沢山存在し、それは現在花を紹介しながらカフェを回る僕にとって大きな刺激となってくれた。


e0183009_1342929.jpg



アーモンドの樹


e0183009_13424659.jpg


e0183009_1343588.jpg



ローズ・シリーズ


清楚な純白の地肌に緻密に描かれた潤んだ花弁たちが可憐に舞っていて・・・何て美しいんだ!!

アーティストと呼ぶに相応しい熟練の絵師たちによる、全てが手作業の一点ものである。
そんな貴重なマイセンのカップが街の外れの喫茶店にここまで集められているなんて・・・


e0183009_13431961.jpg

e0183009_1337521.jpg



ヘレンド(2枚目はフォーシーズンと名付けられたカップ&ソーサー)


ドイツのマイセン・・・フランスのセーブル・・・そして、ハンガリーのヘレンド・・・

セレブリティのステータスの一つとして、この様な陶磁器のセットをコレクションするのは
欧州各国の貴族階級によって寵愛され続けてきたのだろうが・・・何て優雅な意匠なんだ!


e0183009_13471419.jpg

e0183009_13474075.jpg



店内を彩るカップ&ソーサーを最大限に引き立てる為か、店内はシンプルにまとめられ
テーブルやチェアー等も、上品な印象を醸しながらも落ち着いた雰囲気で統一されていた。

勿論、カップやコーヒー、スイーツをより楽しんで頂きたいという配慮もあるのだろうが、
木目の輝きが美しいカウンターやカップがディスプレイされた棚も含め、控え目ながらも
この木の温もりの中でまったりとした気分に浸りながら緩やかな時間を過ごす事が出来た。


e0183009_1348492.jpg



此処までカラフルな作品を見せて頂いた僕が今回オーダーしたコーヒー&ケーキは何と・・・
全く色が無いのだ!!そんなカラーレスの注文にどんな色が添えられるのかと思っていたら・・・

マスターのセンスと感性の高さに、僕はもう完全に脱帽するしか無かった・・・


e0183009_1349860.jpg



ガトー・クラシック・オ・ショコラ(チョコレートケーキ)


極上のカップとコーヒーを提供するこの店の事だから、ケーキは勿論、
コーヒーと共に頂くスイーツやパンも、最高に拘り抜いたものばかりだった。

そんなスペシャルなスイーツの中で今回僕が選んだのが此方のケーキだった。
定番中の定番でもあるガトー・ショコラをチョイスしたのは、ケースで目にした際に
一目惚れしてしまったのが正直な処であるが、この店が“例の物語のリストの店”
という事も勿論考え、その物語で言及された方に捧げる意味合いもあったのだった。


ほんのりと色付いた、まさにミルクチョコレート色とも呼べる表面はふんわりと焼かれた
軽い感触でサックリと仄かな香ばしささえ漂ってくるが、その感覚は一瞬でしか無かった。
と言うのも、フォークを口の中に入れた際に感じられる表面の内側のギュッと詰まった質感と、
中心に進むにつれ増してゆくしっとりとした滑らかな食感、中心はクリームの様にとろけていた。

この様々な顔を見せてくれる食感を、ミルキーなチョコレートで味わう事が出来るのだった。
ややほろ苦く香ばしい表面から、段々と口の中で溶けたチョコレートの濃厚な風味と甘さが
そのクリーミーな舌触りと共にゆっくりと広がってゆき・・・それはそれは、幸せなひと時だった。


そんなチョコレート・ケーキと共に頂くのも、この白と青のカップ&ソーサーに映えるコーヒー。


e0183009_1349288.jpg



グァテマラ(中深炒り)


僕がカップに夢中になっている間、カウンターの向こう側ではマスターが豆を挽き、淹れていた。
何一つ変わる事は無いその無駄の無い動きは、まさにマイスターだけが手にする事の出来る技だ。
寡黙なマスターが淡々と珈琲を入れる間の静寂した凛とした雰囲気の中、コポコポというポットから
お湯の流れ出る微かな音が部屋全体に響き渡り、同時に芳しいふくよかな薫りが鼻孔を擽り始めた。

そうして運ばれてきた至極とも言える一杯の珈琲のブラックオニキスのような輝きといったら!

舌に付けた瞬間、心地良い熱気の中から滑らかでややとろみすら感じられる口当たりのコーヒーから
口の中を刺激するインパクトのある苦味。そのビターな風味から感じる酸味とコクに唸ってしまった。

仄かなローストの薫りが落ち着きと安らぎを与えてくれる。ゆらゆらと不規則な軌跡を描きながら
立ち上る湯気と共に広がる、仄かに甘さと芳ばしさを帯びながらも何とも言えない豊かな香り。
この香りに包まれていると、此処だけが外界から隔絶され時がゆるやかに流れてゆくようだ。

そして、この最高の一杯が注がれているカップ&ソーサーはマイセンを象徴する・・・


e0183009_13494180.jpg



ブルー・オーキッド


“花を紹介するブログを綴っている”という僕の申し出にマスターが粋な計らいをしてくれた。


前出のハインツ・ヴェルナー氏の代表作の一つでもある此方のモチーフは・・・
何と、白地の表面にシンプルな青色の釉薬で描かれた“蘭の花(オーキッド)”!

生き物の手足の様にくねらせた枝振りからデフォルメされた大きな蘭の花は、
青一色の濃淡だけで花弁の繊細な表情を完全に表現し切っている様にも思えた。

彼のブルー・オニオンと並んで現在のマイセンでも1・2を争う人気シリーズであるが、
何処か日本古来の焼物にも通じる部分もあり、それでいて西洋の優雅さをも兼ね備えた、
そんな現代マイセンの逸品を恐る恐る手にしながらも、何時までも飽きる事無く眺めていた。



e0183009_12391048.jpg



えんやでの甘い余韻にもう少し浸っていたかった僕は、焼き菓子を買って帰る事にした。
まるで花弁みたいなひらひらとした形の可愛らしい焼き菓子と一緒に合わせるのは・・・


e0183009_12415641.jpg



「マーガレット」


今シーズンの花期は既に終了し、専門店では早くも来春に向けての花が準備されるとの事だが、
偶然にも近所の店でほんのりと淡いピンク色を付けた此方の鉢植えを手に入れる事が出来た。

マイセンの花柄の中にはこのマーガレットも存在するのだが、唯でさえ入手困難なマイセンの、
しかも市場に中々出回らないレアな絵柄との事で、残念ながら実物を見る事は叶わなかった。
だが、今僕が目にしているのは、紛れも無い正真正銘“本物の”マーガレットの花ではないか!

白い花弁とはまた違った、仄かな甘い香りと共に可憐な少女の様な姿を見せるピンクの花弁。
しかし、こんな可愛らしい花がもう少しで儚くも散ってしまうのだから、カップの絵柄に留め、
この美しさを後世に長く残してゆきたいという人々の想いも十分に頷けてしまうのだった。


e0183009_1350799.jpg



今回のBrit Boyによる鍵コメントは気の短い彼が焦って送ったものか、それともパピヨンか・・・
あるいは僕が未だ知らない他の(彼の物語にはあと数名の登場人物の名が出てくる)メンバーが
彼に送らせたものなのかは定かでは無いのだが、大丈夫・・・僕だってちゃんと考えているのだから。


そう言えば、このえんやの紹介をUPしてから2~3日経ったある日、二つの鍵コメントがあった。

一つは匿名の、それもたったのワンフレーズ、“咎無くて死す”とだけ書かれていたのだが・・・
コメント欄を見た瞬間ドキっとしたが、これが紹介に対する彼等からの報酬なのだろうか?
もしそうでないとしたら、このいろは歌の暗号を引用した謎めいたコメントは一体誰が・・・

そしてもう一つは・・・何とあの人物からの誘いのコメント、しかもプレゼントもあるなんて!
[PR]
by mary-joanna | 2009-12-22 13:12 | 有為の奥山

ヤ.Eight Fingers To Hold You

彼、Cindyの物語への憧憬をこの二つの眼にしっかと焼き付ける僕の密かな試みも、
(元々50回にも満たないのだが)もう既に折り返し点を越えて後半へと差し掛かってきた。
そんな12月も半ば、先日のあのカフェへの二度の訪問に触発されたからという訳でも無いが
僕の心の奥底から今まで禁断にしていたあの店を紹介してみたいという欲求が湧き上がっていた。

それは、もう残り少ない“イロハ計画”の中で紹介したい店が限られてきた事は勿論、
例のリストに記載された店も、未だ浅草の天国の一軒しか訪れておらず、その為だろうか
一時期あれ程頻繁だったグループからのコンタクトもここ最近パタリと途絶えてしまった様で、
“彼の情報を得たい”という本来の目的をも頓挫しかかっている不安も、多少なりに存在していた。


それに何より、今回のイニシャルでもある「ヤ」のイメージに何処かピッタリな感じがして・・・
能書きはこの位にして、早速出発する事にしようか・・・今回訪れる街には可愛らしい・・・


e0183009_1327795.jpg



たった一両のこの電車が僕を連れて来てくれる筈になっていたんだ!

尤も、残念ながら諸事情によりこの真岡鉄道を利用するプランは今回は見送る事となり、
益子の街へと入る手前の踏切で、のんびりと眺めているだけになってしまったけど・・・
可愛らしい電車クン、僕の目の前を過ぎ去るスピードなら新幹線より速かったよ!


e0183009_13441238.jpg



陶芸の販売店が左右に立ち並ぶ益子焼きのメインストリートとも呼べる大通りを抜けて、
更に小高い山の方へと細い路地を入ってゆくと辺りはすっかり里山の景色を見せる。
この秋は様々な場所の紅葉を紹介したけれど、今、僕は山吹色の中に立っていた。

で、果たしてこの先に目的の店はあるのか、と少々不安が過り始める頃なのだ・・・


e0183009_13452283.jpg



この数本の大きなドングリの木に守られている、可愛らしい小さな山小屋を目にするのは・・・


e0183009_13455572.jpg



pain de musha musha and coffee


遂に僕は、この森の中でかくれんぼする小さなカフェ兼パン屋にやって来た。

彼が“兄”と慕っていた隣り街のマエストロが、親交の深いこの店でイベントを行ったのは
今年の1月、もう彼是1年近くが経とうとしているのだが、それまで彼は自身の日記の中で
ほんの2~3の例外を除いてこの種のイベントを紹介するのを極力避けている様に感じられた。
唯一、これ以上は無い程の情熱を傾けて紹介したイベントこそ、この店と“兄”とのコラボだった。

その物語で、決して川のムコウ側には出ようとしなかった少年を引っ張り出したのだから・・・
もう、ジョンとポールの物語の続きに触れる事は出来ないの?・・・なぁ、どうなんだい?


e0183009_1346938.jpg



朝から飲まず食わずでの長いドライブと今年一番とも言える朝方の冷え込みの為に
兎に角温かいものが欲しかった僕は、ドングリの木の横を通り抜けて石段を駆け上がった。


e0183009_13463783.jpg



あの真っ白な木枠の引き戸の側の、直ぐ目の前に大きなドングリの木を眺める事の出来る
四角い卓の場所こそ、彼があの物語でチョイスした席だった・・・外の日差しが気持ち良さそう・・・



とても優しくて物腰の柔らかな店主夫妻と過ごすひと時は、心安らぐ気持ちに誘ってくれる。

その会話の中で偶然出てきた話題が、お気に入りの椅子についてだった。
実は、最近掲載された雑誌の中にデザイン&建築関連のものがあったのだ。

僕は嘗て、イームズやプルーヴェなどのチェアーを追い求めていた時期があった。
今でこそレプリカ製も数多く出回り、カフェの椅子としても定番になったが、あの頃は、
程度の良い中古品に脚や座面のファブリックをカスタムしてもらうのが凄く楽しみだった。

その事を伝えると、ご主人が穏やかな口調で僕に語った。


 貴方に見て頂きたい自慢の椅子があるのです。


果たしてその椅子はカフェの奥の、2畳程の板敷きのスペースに置かれていた。


e0183009_10172985.jpg

e0183009_10175559.jpg



写真での印象以上に小さな椅子は、まるで子供用と見紛うばかりであったが・・・


 勿論大人だって座れますよ・・・どうぞ、腰掛けて下さい!


その言葉に恐る恐る腰を下ろすと・・・何てしっかりとした椅子なのだろう!!

その華奢なビジュアルとは裏腹に、座った際に腰に伝わってくる安定感と言ったら、
まるでこの椅子が切り出される前の、まだ大きな樹木に優しく包まれている感じだった。
柔らかな発色が美しい淡い赤色のフレームに、微妙な反り具合が腰に自然とフィットする
桜の古木を使用した座面に映る枯れた色合いの木目からは、木の温もりが直接感じられる。

イベントではあの方が着かれていたのも納得だが、僕はこの椅子がすっかり気に入ってしまった。


このスペースはギャラリーとしても活用され、側のカウンターには陶器がディスプレイされていた。


e0183009_10185031.jpg



そう・・・僕も心の中で誓ったドングリの約束を果たしに、この森の中のカフェに来たんだ。


e0183009_13142599.jpg



クグロフ


可愛らしいクグロフ型で焼きしめられた、伝統的な焼き菓子のクグロフをオーダーした。
先日のシュトーレンでも感じたけれど、クリスマス当日の華やかな食事を迎えるまでの間、
素朴な焼き菓子を少しずつ頂きながら過ごす・・・なんて素敵なクリスマスの過ごし方だろう。

バターをたっぷりと練り込んで焼き上げたブリオッシュ生地と伺っていたのだが、
ふかふかの生地は口の中でふわっと溶けてバターの心地良い風味に包まれてゆく。
ラムレーズンの豊かな香りとねっとりした食感、噛んだ際に広がるフルーティーな風味、
ナッツ香ばしさとカリっとした歯応えがふんわりしたブリオッシュにアクセントを加えていた。

レモンのほろ苦くも爽やかな薫りが微かに漂って、この素朴なパンに奥深さを与えていた。


このクグロフを食べていると、本当にクリスマスが待ち遠しくなってくるよ・・・


e0183009_10201757.jpg



コーヒー (カメルーン・カプラミ・ジャバ・ロングベリー)


3種類の産地(カメルーン、エクアドル、そして中国!)から、中焼きのカメルーンをオススメして頂いた。

先ず注目して欲しいとサーヴされたのが、カフェでのコーヒー用にと特注された此方の専用カップ。
縦長の筒状になっているのはコーヒーの香りをダイレクトに感じて欲しいとの配慮からだったが、
コーヒーの芳醇な香りは勿論の事、店主のコーヒーへの情熱や拘りをも感じ取れるのだった。

早速香りを堪能させて頂くと、柔らかなローストのまったりとした心地良い香り・・・
この中焼きのロースト感から、てっきりマイルドな味わいを連想していたのに・・・

パンチのある苦味の中から広がる円やかな酸味と微かな甘みが作り出す複雑な味わい!
しかも、冷めてくると内側かすっきりとしたら酸味が段々顔を覗かせてくる感じがした。


唯、豆を焼いただけの飲み物なのに・・・何て奥深い飲み物なのだろう・・・
このコーヒーの魅力にウットリとしながら惹き込まれていると・・・


e0183009_13145330.jpg



・・・この日のメインは大き目のカップに入ってやって来た。


e0183009_13152929.jpg

e0183009_13154332.jpg



冬野菜のクリーム煮・ポットパイ


とっても“ホット”な“ポット”パイ!!

大きなカップを覆い尽くすパイの蓋はほんのりとしたこんがり小麦色。
アイボリーのカップからモコモコとはみ出して・・・まるでキノコの傘みたい。

そのカップを覆った何処か愛らしいパイの蓋を暫く眺めていた僕だったけれど、
冷めてしまわないうちにと、名残惜しくもスプーンを刺すとパイ生地はサックリと
崩れて熱々の湯気がいっぱい立ち上り、僕の食欲も一気にヒートアップするんだ!


e0183009_1317118.jpg



サックリと焼かれた表面は、仄かに粉の香ばしさが感じられクリスピーな美味しさ。
それでいて内側の方はむにゅっとして柔らかな食感と素朴な味わいが何処か懐かしい。

大きなカップを更に大きく覆ったボリューム満点の、二つの美味しさのパイ生地の中には
キノコの豊かな香りとほんのりとクリーミーな風味が抜群にマッチしたシチューがたっぷり!

クリーミーなシチューには、とろとろに煮込まれた甘いネギにシャキシャキでほっこりした蓮根、
そして何と言っても、ムニュっとした食感から広がる旨みたっぷりのキノコがたっぷりと入っていた。
スプーンで崩し入れたパイ生地はシチューを吸い込んで絡み合い、更に一層美味しさを増していく。


全て具材を包み込む優しいシチューは素朴で優しい味付けとたっぷりのミルクの、
小さい頃、寒い夜に作ってもらった、あのママの優しい温もりがいっぱい感じられて・・・

森の中の小さな小屋のカフェで頂く野菜とキノコがたっぷり入ったあつあつパイシチューは
それまでの僕の、冷え切った身体と心をゆっくりと優しく、そして、暖かく包み込んでくれていた。


身体も心もすっかり温まった僕はこのカフェを後にして、“もう一つの”入り口に向かった。


e0183009_13175456.jpg

e0183009_13181056.jpg



カフェだけじゃない・・・ずっとこの“ムシャムシャパン”の小屋に憧れていたんだよ!

まるで何処かの惑星の生き物みたいな何とも名状し難いオブジェにも遂に出会えた。
真っ白な扉のノブに手を掛ける前、僕はこの小屋の屋根を暫くの間眺めていた。
この時期に訪れる機会があったら、是非ともその目で確認して欲しいのです・・・

この“ムシャムシャパン”の小さなお店の屋根の色は何色かって・・・


e0183009_13194923.jpg



クリスマスのカラフルなイルミネーションも良いけれど、このパン屋さんにぴったりだよね?


e0183009_13201274.jpg



クリスマスって言えば・・・サンタさん、この前は綺麗な花と懐かしい思い出をありがとう・・・


e0183009_1320594.jpg



中に入ってみると、丁度パンが焼き上がったところだった。


e0183009_132212.jpg

e0183009_13221211.jpg

e0183009_13222443.jpg



ちっちゃなまん丸パンに、しっかりしたハードパンに・・・季節の野菜のキッシュもあったよ!!
棚の向こう側にいる店主と相談しながらお気に入りのパンを選ぶって、ちょっと嬉しいよね。


e0183009_10141185.jpg



やっぱりキミたちは此処にも遊びに来ていたんだね・・・

あれっ、キミたちが向かっているは、上の方にあるちっちゃな丸いぼんぼりを付けた・・・
そう、その白くてまん丸が寄り添った花・・・その周りには優しい“おてて”が守ってくれて・・・



e0183009_2515496.jpg



金山城跡 (群馬県太田市)


数日が過ぎたある日、森の小さなパン屋さんで再会した小鳥クンに教えてもらった僕は、
彼が慕っていたマエストロがそうした様に、隣り街のとある場所までやって来たのだ。

街の中心から北に向かっていくと、“呑龍様”で名高い大光院という浄土宗の寺院に辿り着く。
更に車を走らせる事数分、辺りは直ぐに山道へと変わり、くねくねした細いを登ってゆく。
そして、展望台付近の駐車場に車を停めてからは、この石段を徒歩で登る事になる。


e0183009_2523417.jpg



全く舗装のされていない山道の左右からは壮観な太田の街並みを見下ろす事が出来る。
それまで息を切らしながら重い足取りで進んでいたが、この景色に爽快な気持ちになるのだ。

そして、道中ではこんな美しい偶然の出会いもあったりするから嬉しい。


e0183009_253167.jpg



ヤマツツジ


何と、返り咲きのヤマツツジの群生が枯れた木々の間で華やかさを添えていた。
この可憐な薄紅色の花弁にすっかり心も癒されて、更に先へと進む意欲も出てきた。


e0183009_2535274.jpg

e0183009_25468.jpg



歩き始めて20分は経っただろうか・・・目の前には重厚な石垣が圧倒的な存在感で迫ってきた。
金山城跡・・・そうか、此処は嘗て難攻不落の堅固な山城として近隣に名を馳せていた様だ。

この聳え立つ石垣の間を通り抜けると、一番奥には元本丸が置かれていた神社がある。


e0183009_2545653.jpg



だが、僕が目指していたモノは、神社の境内に向かう緩やかな石段の脇にあった。


e0183009_373925.jpg

e0183009_2551143.jpg



「ヤツデ」


寒い北風に吹かれながら真っ赤に腫らしたちっちゃな紅葉の“おてて”の前で、
緑色した大きな“おてて”が優しく包み込むようにその“手のひら”を広げていた。

僕の手よりも大きさのあるくっきりとした輪郭の濃いグリーンの葉は、
まるでお父さんのような力強さとお母さんのような優しさの両方の手で、
向こうの木で寄り添っている沢山の小さな手を温かく見守っているみたい・・・


e0183009_2553125.jpg



真っ白でちっちゃな丸いぼんぼりを付けたヤツデの花・・・

小鳥クン、やっと僕も見つける事が出来たよ!!



e0183009_2561819.jpg



くるみパンとアン・ノア


素朴な粉がしっかりと焼きしめられて、香ばしくてパリッとしてそれだけでも美味しい。
中を割ると胡桃の風味が皮からは想像もつかないくらいふんわりしっとりの生地と
一緒に口の中でふわっと広がって、本当に自然で優しい気持ちになれるんだ。

ちっちゃな丸パンの中には優しい甘さの粒あんがたっぷり入っていて、
思わずちっちゃな子どもに戻った様に無邪気な笑みが零れそうだ。


e0183009_2564280.jpg



季節の野菜のキッシュ


マットな印象でサクサク感いっぱいのパイ生地の中いっぱいに詰まったアパタイユ。

ふんわりとしてミルキーな風味と卵の優しい風合いが何ともマッチして美味しいけど、
何と言ってもたっぷり入った野菜の食感や旨みがキッシュを更に美味しくしていた。

次回は是非とも、ホールで購入したくなるキッシュだった。


e0183009_257914.jpg



マフィン


スイーツかと勘違いしそうな可愛らしいマフィンだけれど・・・

トッピングのリングは何とオリーブの輪切りで、赤色はトマトだと言うのだから・・・
そう言えば、このパン屋さんの工房の壁の色はショッキングピンクに染められていて、
森の中の可愛らしいパン屋さんは、時にアバンギャルドなブーランジェリーになるのだった。


e0183009_361928.jpg



彼が“森の中の幻のパン屋さん”と言って紹介してからもう3年近くが過ぎて、
この店自体はパン屋のみの頃から含めて何と5th Aniversaryを迎えたとの事・・・

でも、何時までもおとぎ話に出てくる森の中の可愛いちっちゃな小屋であって欲しい・・・
そんな事を願いながら、可愛らしいまん丸パンをムシャムシャと頬張っていた。


e0183009_8555523.jpg



遂にジョンとポールの物語に登場する店まで紹介してしまったけれど、
その為もあってか、UPした夜、久しぶりに鍵コメントを貰ったのだ・・・彼等から・・・
[PR]
by mary-joanna | 2009-12-18 13:52 | 有為の奥山

ク.花に囲まれて

彼が綴った“三兄弟のカフェ”を遂に訪れてからもう彼是2週間が過ぎようとしていた。
その間僕はカフェやパン屋への訪問はおろか、肝心の花を観賞する事すら怠っていた。
11月末から12月初めにかけては学習塾の講師という仕事柄大変忙しい時期に当たる為
元々週に1日だけの休日も返上して職場に通い詰めていたのは確かに事実ではあるが・・・

実を言うと、例の病気による数週間の中断はあったにせよ、此処までの数ヵ月間で
Elvis Cafeを綴り始めてからこの何日間くらい、迷い、悩み、躊躇した事は無かった。
その理由は勿論、あの夜のテラスで体験した“ほんの”数十分に起因してはいるのだが、
その詳細を語る機会は“必ず”やって来る事になっているので此処は一先ず伏せておこう。


暫くの間、憂鬱な日々を過ごしていた僕に必要だったのは・・・やっぱり花なんだ!
僕は今までそうしてきた様に、のんびりゆったり・・・花に囲まれていたかったんだ!

それに、もう12月も中旬に差し掛かろうとしている今日、自分自身へのご褒美として、
そう、クリスマスプレゼントとして、そんな僕のささやかな願いにぴったりのあの場所で、
しかもプレゼントにぴったりのあの花に会う事が出来るなら・・・そして、何と言っても・・・
僕からサンタさんへの小さな願いを叶えてくれる場所は、直ぐ近所にあるじゃないか!!


e0183009_15301791.jpg



駐車場に車を停めて一番初めに出迎えてくれるのは・・・この可愛らしい小屋の看板。
そして、目の前の駐車場の一角に設置されたテントでは、自家製のパンが売られていた。
店主自らテントで販売する焼きたてパンの芳ばしい香りに誘われて人だかりが出来ていた。

後ろ髪を引かれる思いでカフェに向かうべく傍の坂を上ろうと・・・いや、直ぐに止まってしまった。


e0183009_1530417.jpg



何故なら、この坂の脇にはとても綺麗な・・・



e0183009_15311287.jpg

e0183009_1530555.jpg



アークトーチス


細長く伸びたスマートな容姿、コバルトブルーの空との爽快なコントラスト、そして
スノーホワイトの細長い花弁が印象的なアークトーチスだが、キク科の園芸品種は
これまで此処でも幾つか紹介してきたものの、このクールな花弁は黄色く縁取られた
シルバーグレーの中心と相まって、嘗て無いスタイリッシュな雰囲気を醸し出していた。

カフェの駐車場から坂へと向かう途中のお宅の庭先にとても見事に咲き誇っていた為、運良く
庭に出ていた家の方にお願いして撮らせて頂いたが・・・“素晴らしい”の一言に尽きるのだった。


e0183009_15315050.jpg



更に、短いながらお世辞にも緩やかとは言い難いこの坂道を程無く上っていくと
直ぐ目の前に現れる緑に囲まれた真っ白なサイディングの三角屋根の山小屋こそ・・・


e0183009_1532580.jpg



Garden Cafe 南の麦


この素敵な“空中庭園”を彼も勿論放ってはおかなかったが、Cindy's WALKに
最後にこのガーデン・カフェが登場したのはもう1年以上前の10月の事だった。

尤も、彼の日記自体が途絶えてからも、既に数ヵ月が過ぎているのだが・・・


e0183009_214619.jpg



何とカフェの庭園にはこの蔓に覆われた緑の門を潜り抜けるようになっていて、
まさに此処から先は“花と緑の楽園”になっているのだったが、この緑の門には・・・


e0183009_221552.jpg



大きく熟れた赤紫の果実が所々に生っており、思わず手を伸ばしたくなる程だった。
後で店主からあけびの一種であると教えて頂いたけれど、これがあけびの一種か・・・

坂からこの入り口まで既に驚きの連続であったが、この先にはそれまでの驚きですら
霞んでしまう様な、素晴らしい光景が広がっていた・・・そして、幾つかの“再会”もあった!


e0183009_229419.jpg

e0183009_23024.jpg



カフェは庭に面した壁一面が大きく開いていてカフェ全体がまさにテラスとなっていた。
今日の様な良く晴れた日には、太陽の日差しもいっぱい入って何とも気持ちが良さそうだ。

このテラスルームとも呼ぶべき空間からも、庭の草花を存分に楽しむ事が出来るだろう・・・ほら!


e0183009_230343.jpg



ラベンダー


暫しの間、僕を何処か懐かしい世界へと誘ってくれた藤色のふさふさで着飾ったキミたち・・・
また、あの甘いフローラルの香りと共にタイムスリープの旅に連れて行ってくれないかい?


e0183009_249258.jpg

e0183009_2502039.jpg



カフェのテーブルはアンティークのミシンに古木の天版をつけたカスタム製のものだった。
そう言えば、彼の日記にも度々この様なリフォームされたテーブルが登場していたが、
此方のテーブル&チェアーは坂の途中にあった工房で作られたオリジナルとの事・・・

だから、チェアーは庭にマッチする様にグリーンのグラデーションになっているんだね!


e0183009_2505960.jpg



大きく開いた店内から、この煉瓦畳の小路へと下りて、再び庭の方に向かうと・・・


e0183009_2521723.jpg



庭の木もすっかり紅葉していた。

花は枯れ・・・実が生り・・・種となり・・・そして、また今年も長い冬に備える・・・


e0183009_2533936.jpg



庭の物陰でひっそりと佇む真っ赤なキミみたいにね・・・

暫くジッと見つめていたが、視線を表の庭全体に向けてみる事にしよう。


e0183009_9182375.jpg

e0183009_229964.jpg



見晴らしの良い高台には緑に囲まれたゆったりした庭が広がっており、敷地に沿って
並んだグラストップのガーデニング・テーブルが、何とも優雅な雰囲気を作り出していた。

座った際に視線の高さにぴったりと収まる様に考慮して配置された非常に大きな鉢植えには
それぞれ異なった草花が植えられていて、まさにお花畑の中で寛いでいる気分に誘われる。
また、低木や鉢植えは各テーブル間を絶妙のバランスで隔てている役目もしているので、
周りを気にせずのんびりと出来る自然に囲まれたプライベートな空間を演出していた。

そんなウットリとした中でふと目に留まった可愛らしいレモン色の花々・・・キミたちは・・・


e0183009_9185075.jpg

e0183009_919939.jpg



ウインターコスモス


やぁ、またキミたちに会ったね・・・此処ではみんな寄り添って楽しそうだけど・・・
この前の、青空に向かって頑張っていた彼らは“天国”に近づいたかな?


e0183009_9201314.jpg



ケイトウ


紅色のツンツン頭のキミたちには、え~っと・・・そうだ、あの“友達の家”で会ったね!
もうあれから3カ月近くも経つけど、明るい笑顔が可愛いかった彼女は相変わらず元気かい?

そして、この花の庭園には未だ紹介していない新しい仲間たちも華やかな姿で出迎えてくれた。


e0183009_9194690.jpg



ブルーデージー


シュンと伸びたシャープな花弁だなんて、何てスマートでお洒落なんだろう!!
しかもほんのりとした淡い水色が中心の鮮やかな黄色と似合ってとても綺麗だよ。


e0183009_9204116.jpg



ノースポール


この前「ノ」のイニシャルで紹介しようと思っていたキミたちと此処で出会えるなんて・・・
ブルーデージーがカッコいいイケメンお兄さんなら、キミたちは可愛らしいボクちゃんだね・・・


e0183009_9545643.jpg



アークトーチス


坂の途中で見たのとは全く印象の異なる、鮮やかなオレンジ色のアークトーチス。
先程の、まるで氷雪の様なクールな印象のキミにも惹かれたけれど、太陽の様に
僕の冷えた心を明るく、そして暖かくしてくれるアナタもとても素敵ですよ!


紫色に始まり、イエロー・・・ブルー・・・紅色・・・ホワイト・・・そして、この蜜柑色と、
師走も半分に差し掛かったこの年の瀬に、まるで早春の情景を見ている様だ!!
あの坂を上るまでは全く想像もしなかった麗らかな花の園は、少し寂れかけた
冷たくて薄暗い僕の心をゆっくりと穏やかに照らしていってくれたのだった。

そんな、ささやかながら今の僕にとってこの上ない(多分)サンタさんからのプレゼントを
感じながらも何時までも眺めていたかった庭園の散策にひと区切りをつける事にした。


e0183009_9551774.jpg

e0183009_9554171.jpg



ブランケットも用意されていたが、風も無く穏やかな日差しが心地良く降り注いでいた。
花と緑に囲まれた麗らかな庭園でのまったりしたランチのひと時に僕がオーダーしたのは・・・


e0183009_9564236.jpg

e0183009_957026.jpg



タルティーヌ


大きなバゲットを半分に割ってハムやチーズがこぼれんばかりに乗ったオープンサンド。

パリからやって来たブーランジェリーの、東京は四谷の店舗でパンを作っておられた
店主が焼くバゲットは、パリッとした皮の香ばしい歯応えともっちりとした食感から
広がるシンプルな粉の風味と微かな塩味、生地の瑞々しさが何とも言えない!

そんな本場フランスの薫りがいっぱいに詰まったバゲットを一層美味しくしてくれるのは、
ハムやチーズ、新鮮な野菜などのシンプルながらパンとの相性が抜群なこれらの食材たち。


ツナの旨みとシャキッとしたオニオンがオリーブオイルの風味とマッチして食欲をそそる。
生ハムのとろける食感と独特の塩味が、まったりとしたチーズに良く絡んでリッチな味わい。
更にオープンサンドの定番と言えば、フレッシュトマトにたっぷり溶けた熱々のとろ~りチーズ!

3種の美味しさが一度に味わえるオープンサンドだけど・・・やっぱり青空の下で頂くとまた格別だよね!!


e0183009_1532281.jpg

e0183009_15323723.jpg



ベリーのタルト


緑の門の脇に立て掛けてあったデザートメニューの中で僕がとりわけ気になったのが、
ラズベリーにブルーベリーに、それにブラックベリーまで入ったゴージャスなタルトだった。

サックリと焼かれた表面のタルト台の中はアーモンドクリームの甘く芳ばしい香りが仄かに漂う
非常にしっとりとした生地がたっぷりと詰まっていた。ひと口頬張る毎に甘い風味と一緒にふんわり
溶けていって・・・後からベリーのキュンっとした華やかな甘酸っぱさが瑞々しさと共に薫り立ってくる!


そして、優しくも何処か切なさを感じさせながら口中に広がって・・・仄かに消えてゆく・・・
まるで、華麗な花畑の花たちが日々段々と儚く散ってしまうかの様に・・・


e0183009_15325361.jpg



シュトーレン


坂の下の駐車場に設けられたテントでのパン販売は既にに完売してしまい、
その代わりに日持ちのするシュトーレンがレジの向かい側の台に置かれていた。

ここ数年、この季節になると洋菓子店だけでなくパン屋等でも見かけるようになった
このシュトーレンであるが、すっかりクリスマスの定番菓子として市民権を得たようだ。
よく考えてみるまでもなく、およそ一晩限りで終わってしまう生クリームのケーキと異なり、
何日間もの間少しずつ切り分けゆっくりと楽しめるのもこの伝統菓子の魅力の一つだろう。


そう言えば、彼はこの時期、毎年シュトーレンを紹介していたっけなぁ・・・
そんな事を思いながらも、リーズナブルなカットサイズを購入する事にした。


花に囲まれたガーデンカフェに別れを告げるも、坂の途中で足を止める。
その訳はと言うと、勿論、其処に今日僕が紹介すべき花があったからなのだ。


e0183009_9574419.jpg

e0183009_9583416.jpg



「クリスマスローズ」


ここ数年、クリスマスを特別に祝った事なんて無かったよなぁ・・・

第一、毎年クリスマス前後には2学期も終わり、いよいよ冬期講習に入る時期だったのだ。
特に、最近は受験生も担当する様になったので、僕にとっては尚更縁の無いイベントだった。
通常より早い時間から夜遅くまでずっと教室で過ごし、帰宅して真っ暗な台所の電気を点けると
テーブルの上に皿が置かれてあり、ラップを取ると僕の分のチキンやサラダが寄せ集められていた。

で、冷蔵庫の中から白いケーキの箱を取り出してみると、中から出てきたのは所々に生クリームが
はみ出した、雑に切り分けられた断面のスポンジがボロボロに乾いた一人分のショートケーキだった。
ケーキの表面には蝋燭や飾り、苺が乗っていた筈の形跡だけが残っていて、本体は取り去られていた。
つまり、深夜に一人台所のテーブル(と言うより冷蔵庫の前)で口にする、スポンジが剥き出しになった
生クリームのケーキこそ、年によって程度の差こそあれ僕にとっての“クリスマスケーキ”の味なのだった。

それからすると、この半年間の間に見た目も味も、とんでもなく素晴らしいケーキを食べ続けててきたと
半分呆れてしまう位、我ながら感心してしまうのだが・・・でも、今年のクリスマスケーキはと言えば・・・

・・・今語った、スーパーか近所のケーキ屋で購入したボロボロのスポンジでも・・・悪くはないよ!!


こんなに良い天気なのに・・・とっても綺麗なコバルトブルーの青空なのに・・・

何処か物寂しそうに俯いて下を見ているぼんぼり型したキミを眺めていると、ロマンチックとは程遠い、
パッとしない僕のクリスマスの夜が何故か懐かしい思い出になって瞼の裏に映し出されるんだよ・・・
でも、そんな感傷的な気持ちにさせてくれるのも、サンタさんの想定の内だったりするのかな?


e0183009_100016.jpg

e0183009_9593829.jpg



シュトーレン


たっぷりと塗した甘い粉糖で固められた表面の中には、ホロホロの甘い生地。
その生地に漂う何ともリッチで濃厚な薫りと言ったら・・・まったりした気分に誘われる。
しかも、中には香ばしいナッツやねっとりとしたジューシーなドライフルーツ、しっとりとした
マジパンの塊りが所々に入っていて素朴なのに何処を食べても楽しい発見に出会えるのだ。

見た目の華やかさはクリスマスケーキに譲るものの、思い出作りにはぴったりの焼き菓子だね。


e0183009_1001768.jpg



僕の願いが通じた訳では無いだろうが、本来は年明けの2月頃からが花期となる
この「クリスマスローズ」の早咲きの株に出会えたばかりか、12月とは思えない位の
様々な種類の美しい花たちをゆっくりと観賞しながら美味しいランチを楽しむ事も出来た。

また、当初の目的でもある“例の旅”に戻れそうかな・・・たとえサンタさんでもこのお願いは・・・
[PR]
by mary-joanna | 2009-12-14 03:01 | 有為の奥山

オ.シークレット・ラヴァーズ Ⅱ

11月も後半に差し掛かると昼間でもコートが手放せなくなってくる。
この日みたいな薄雲に覆われた空の下では尚更その様に感じてしまう。
今年も手足の先が凍る様に冷たくカチカチにひび割れる季節がやって来きて
この先数ヶ月も続くのかと想像しただけでも憂鬱な気分になってしまうのだが、
3年連れ添ってきたあのダッフルコートは袖先の解れが如何しようも無くなって
先日泣く泣く処分したばかりで、次の休みに新調しようと思っていた矢先だった。

時折り明るい太陽の光が差し込むものの何処かスッキリとしないこの日みたいに、
僕の心の中も薄靄色したフィルターを通して覗いている様な煩わしさが感じられた。
別に今日この場所で全てにケリを付けようなんて、これっぽっちも思っちゃいないさ。
その舞台はちゃんと用意してあるじゃないか・・・しかもElvis Cafeを始めた時から!
唯その為に、イロハのイから季節を跨いで漸く半分過ぎまでやって来た訳なのだし。


だけど、今日、このカフェを訪れたのには勿論理由があった。
そう、如何してもこのカフェでなければならない理由が・・・

この前、「ノスタルジー」を紹介したから?それとも追憶の女性に願いを込めたから?
兎に角、“その時”に備える意味でも、僕は遂にこのカフェを訪れる事にしたのだ。
半ば、自分自身に言い聞かせる様に封印していた、“あの三兄弟”のカフェに・・・



e0183009_17374697.jpg



café la famille


どの雑誌にも同じ様に書いてある・・・誰のブログを見ても変わらない・・・
街の外れの住宅街の只中に突然姿を現す、外国に迷い込んだ様な風景・・・

でも大袈裟ではあるが、それこそ此処で体験するべき事の全ての始まりな訳だし、
僕はこの風景を見る為に1時間半もの時間をかけて足利からやって来たのだ。


e0183009_17381161.jpg



(後から気付いた事だが)建物の奥へと入った場所にも駐車する場所があった様だったが、
まだオープンする前だった為か、ランチの時間帯は曜日を問わず連日満席となるこのカフェも
今のところ僕以外に人の気配は見られなかったので、この建物の前に車を停めて待つ事にした。

路地に面した所々煤けた真っ白な壁の大きな切妻屋根の家屋の側面には、大小の窓枠が
不規則に開けられており、左右に付いた空色の飾り雨戸が可愛らしい雰囲気を醸し出していた。
更に建物を取り囲む不揃いの高さの板張りのフェンスまで含め、彼が紹介した世界そのものだった。

思わずフロントガラス越しに身を乗り出して魅入ってしまったが、降りて辺りを散策する衝動に駆られた。


e0183009_18342851.jpg



フェンスの脇にポツンと立っている背高のっぽの外灯クンが訪れる人々を最初に出迎えてくれる。
ぐるぐる迷って漸く着いてちょっぴり心細くなった僕たちの心を、キミの明かりがそっと癒してくれる。
だから、たとえ辺りが真っ暗でも、僕たちはキミの優しい明かりの下に安心して車が停められるんだ。

そう言えば、このカフェには辺りをそっと照らしてくれる個性豊かなランプが随所に配されていた。
そして、何時だったか彼も日記でその事に触れ、“ランプ・コレクション”なる紹介をしていたっけ・・・


e0183009_18335164.jpg

e0183009_1835099.jpg



敷地内に植えられた樹木も既に黄や山吹に色付いており、すっかり晩秋の装いを見せていた。
街中にいながら四季折々の自然の移り変わりを感じながら過ごす事が出来るのも此処の魅力だ。

その事を知ってか知らずか、彼は5月、8月、1月と、季節を変えてこのカフェを紹介していた。
そして、あと足りなかったのが、僕がこうして訪れている秋のfamilleという事になる訳だけれど・・・


e0183009_18352588.jpg



強風の日に外れかけた鉄柵の門を弟二人だけで修理して、
異国の地で独りで暮らす兄に家の事は大丈夫だと安心させる・・・

・・・もしや彼には離れて暮らす兄弟でもいるのかしら・・・


オープンの時間となり、スタッフがこの鉄柵の門を開けにやって来た。
それにしても、東方にある国のパン好きな住人って・・・君自身の事かい?


e0183009_040635.jpg

e0183009_0403081.jpg



左右の建物に伸びる枕木の小路をさり気無く彩る小さな花の可愛らしいピンクに、
長いドライブの疲れや待っていた時間もすっかり忘れてウットリとしてくるんだ。


e0183009_041794.jpg



庭に入ると恐らく動く事は無いであろう錆付いた自転車が芝生の中に置かれていた。
その姿はまるでもう戻ってこない主人を何時までも待っているみたいにも思えた。

折角手放しで乗れる様になったというのに・・・


e0183009_0414022.jpg



 父さんと母さんがここに座って・・・
 僕らが目の前の庭を駆け回って・・・



家族みんなが揃ってこの家で新しい朝を迎える・・・何て素敵な事じゃないか!
この光景を前にして暫く感慨に耽っていたが、おもむろに隣りの扉に手をかけた。


e0183009_0421052.jpg



店内に入った僕は、迷わずに一番奥の部屋へと向かった・・・例の場所は・・・


e0183009_0545670.jpg

e0183009_0551097.jpg



一番奥の開放的なダイニングの突き当りの、壁一面に大きく開いた窓からは、
薄曇りの昼時ではあったが外の日差しが降り注ぎ白い店内を更に引き立てていた。

まるでこのカフェを訪れたゲストに爽やかな自然の明かり出迎えてくれている様に思えた。


e0183009_0552338.jpg

e0183009_0553646.jpg



ダイニングの広い空間を見回した僕は、直ぐに探し物の一つに気付いた。

だって、あの時のUFOは余程この場所の居心地が気に入ってしまったのか、
飛び去る気配も見せずに今もこうして同じ場所をゆらゆらと漂っているのだから。

そして、もう一つこのカフェで忘れてはならない大事なオブジェが・・・


e0183009_0563459.jpg



壁に掛けられた調理器具の数々は、彼がどうしてもUPしたかったと言って紹介し、
また、ブライアンの物語では、兄に対するささやかな優越感のアイコンとして登場した。


e0183009_055498.jpg



更に、ブライアンの物語と言えば・・・あぁ、あんなところに・・・


e0183009_057156.jpg



離れ離れの兄との再会を夢見て作り上げたヨットの模型・・・

このヨットで早く家に、家族の元に帰りたいんだ・・・難破してしまう前に・・・


e0183009_0573790.jpg



この空間は本当に船のデッキにいるみたいで・・・

店内からテラスへと下りた直ぐのところの、以前は4人掛けの丸テーブルが
置かれていた場所には、現在2人掛けのデスクが代わりに置かれていた。

彼の描いたあの家族の間にあれから何らかの変化があったのでは?
でも僕は待っているよ・・・また君が愛してくれる日を・・・何時までも・・・

そんな妄想を膨らませつつも、そのデスクに着く事にした僕だった。


e0183009_0575320.jpg



こんなところに“カール”の椅子が・・・本物の“カール”はもうこの世にいない・・・

そして、貴方までがいなくなってしまったら、もう僕は・・・
いや、それは神様にしか分らない・・・だったよね?


e0183009_058810.jpg

e0183009_0582396.jpg



10食限定キッシュプレート


非常に人気のランチプレートで直ぐにオーダーストップがかかると言う
此方の限定キッシュプレートを偶然にも頂く機会に恵まれたのだが・・・

大皿に沿ってぐるりと並んだバラエティー豊かな料理の数々を
目の前にして、オープンと同時に完売との噂にも納得だった。


カリフラワーのスープ

香草の薫りとほろ苦さが淡白なスープにアクセントを加えていた。
主役のカリフラワーはサラりとした食感でスープに溶け込んでいたが、
そのカリフラワー本来の自然な美味しさや瑞々しを存分に堪能出来るのだ。
温かなスープはカリフラワーの持ち味を生かす為にシンプルな味付けながらも
全てを優しく包み込んでいて、そのまろやかさとクリーミーさがまた秀逸だった。

鶏肉と豆腐のハンバーグ

メインには可愛らしいサイズの豆腐のハンバーグとの事であったが
ミニサイズのココット鍋に収まったハンバーグのこんがりとした表面は
ビジュアル的に食欲をそそるばかりか、食べた際の香ばしさに笑みが零れる。
ふわふわとした食感のやわらかな豆腐のつなぎから溢れ出さんばかりの鶏肉の
ジューシーな旨みとコクは味のみならずボリューム的にも十分満足出来るのだった。

温野菜&ディップ

サラダとしてだろうか、シンプルな温野菜が添えられていて、この季節には嬉しい。
目移りしそうなプレートの中では単なる脇役的な扱いと、何気無く手を伸ばしてみる。
ふっくら炊かれたブロッコリーと蕪は野菜の持つ食感も絶妙に感じられて・・・何より甘い!
そして、何と言ってもカップに盛られたほんのり卵色のディップの美味しさは、衝撃的だ!!

ジャガイモのホクホクした感触と卵のまろやかなコクが一つとなったディップは
今が旬の冬野菜を更に美味しくしてくれるだけで無く、パンとの相性も抜群だった。


全7品、スペシャルなカフェのスペシャルな料理を少しずつ頂けるなんて・・・
みんなのワクワクした笑顔が瞼に浮かんでくる様で・・・僕も笑みが零れていた。

そして、そんなプレートに名を冠している料理がこの・・・


e0183009_0584727.jpg



キッシュ


プレートのどの料理もメインに成り得る完成度と美味しさを誇る中で、
フランスの伝統的郷土料理であるこのキッシュを中心に据えたのは、
このカフェが本格的なフレンチのメニューに拘っているからだろう!!

ザックリ焼かれたパイ生地の芳ばしい香りとサクサクの食感が堪らない。
その中にはたっぷりと流し込まれた卵は、ふわふわで非常にクリーミー!

しかもジューシーで噛み応え十分の旨みと塩味がたっぷり乗ったベーコンに
熱々でホクホクしたジャガイモの自然な美味しさが卵と一体になっているのだ。

全てが一つの中に閉じ込められていて、素朴だけれど非常に複雑な味わいが
身体全体に伝わって・・・とても幸せな気持ちになれる伝統的な卵料理だった。


e0183009_0594090.jpg



カプチーノ


更にこのカフェに無くてはならないのが、此方のカプチーノだろう。
サーヴされた瞬間、僕は思わず“わぁ”って小さな声を漏らしてしまった。

だって本当にずっと憧れていたんだ・・・彼のブログに登場するハートのラテアートを・・・
でも今日此処にあるこの愛に満ちたハートも直ぐに消えて無くなってしまうなんて・・・


e0183009_101511.jpg



クリームブリュレ


このフランスの伝統的スイーツは彼の日記で何度となく紹介されてきたし、
まだ20数回足らずのの僕の日記でも全く始めての登場という訳でもなかった。
更に、とろりとした濃厚な甘さと卵の風味がマッチしたデザートが大好きなのだ。

でも、このカフェのクリームブリュレと言ったら・・・


ヨーグルトアイスのひんやりした舌触りと、その直後に薫り立つ仄かな甘酸っぱさ。
控え目ながらふんわりと薫る柚子の清々しさは冷たいアイスの感触と相まって、
まるで伝統的な和菓子の様に落ち着きの中にも凛とした気分に誘ってくれる。

これだけでも十分スペシャルなデザートとなり得るのに・・・脇役だなんて・・・

クリームブリュレの要とも称される表面のカラメルをスプーンで突く瞬間の、
彼も幾度と無く綴ってきた、“このデザート最大の贅沢な瞬間”・・・僕も同感だ。

パリッとした小気味良い音を立てて割れたカラメルの硬い感触と中のブリュレの
口の中でとろけて消えてしまう食感を同時に味わう際の、あの瞬間と言ったら!
更にカラメルのパンチのあるほろ苦さと濃厚な甘さをコーティングしていく様に
ふんわり広がってゆく仄かな卵の薫りいっぱいのクリーミーで優しい風合い。


まさにこの類い稀なカフェだからこそ成し得る伝統と革新の融合を堪能出来るのだ。


e0183009_103765.jpg



僕がいたテーブルは建物と庭とを隔てているテラスの一番端に位置していたので、
デッキを取り囲む古木のフェンスを越えると直ぐ向こう側は庭と畑に通じていた。

デザートを終えた僕は、あるモノを探す為にデッキを下りて庭に行ってみる事にした。
このカフェを訪れる大半の人々が、こうして庭の散策を楽しんでいる様子だった。

そして、そのモノは直ぐ隣りにひっそりと佇む様に取り付けられていた。


e0183009_11961.jpg



あぁ、これか・・・

本当だったらまんまるランプとまんまる雲のツーショットを撮りたかったけど、
彼みたいな気まぐれクンだから、直ぐに形を変えて何処かに行ってしまうんだ。

この家で過ごしたあの甘い日々が無くなるのを目の当たりにするのは辛いんだよ・・・


真っ白のパレットに溶かした淡いブルーみたいな空と土の匂いが微かに漂う剥き出しの畑、
晩秋の今でも様々な彩りを添えてくれる庭の草木に別れを告げて、僕はこのカフェを後にした。



そして、数日が過ぎたある日の晩、すっかり日が暮れ辺りは漆黒の闇夜に包まれて・・・


e0183009_11362.jpg

e0183009_12359.jpg



真っ暗な路地を進んでこの外灯に照らされた瞬間の安堵の気持ちと言ったら・・・
つい先日の昼間に訪れた時は、さも客観的に語っていた筈だったのに・・・


e0183009_12515.jpg



そして僕は再びこの水色のドアに手をかけた・・・


e0183009_131525.jpg



勿論向かった先もこのデッキだったが、晴れた午後でも肌寒い11月も下旬の、
しかも夜の帳もすっかり落ちて、風は無かったとはいえ寒さも昼の比では無かった。

それでもこのデッキを希望する我が儘な訪問者にも、このカフェのスタッフは皆、
まるで家族の一員の様に温かく接してくれた・・・ブランケットの温もりが心地良い・・・


e0183009_17213486.jpg



ショコラ・ショー


こんな寒い夜は、熱々の甘くて濃厚なショコラ・ショーが恋しくなるんだ。
それはまるで優しさに満ち溢れた貴女の温もりにも似ている様で・・・


e0183009_14157.jpg

e0183009_17234887.jpg



あんざい果樹園の洋なしタルト ヨーグルトアイスと


まるで白いきのこみたいな可愛らしいヨーグルトアイスとツーショットで
仲良く出てきたのは、かの有名なあんざい果樹園の洋なしで作ったタルト。

洋なしの爽やかな薫りが仄かに広がっていく様で・・・ウットリと眺めていた・・・


e0183009_143149.jpg



ガレット&フロランタン


お土産として持ち帰ったのはfamilleの焼き菓子・・・彼の定番のお土産でもあった。


e0183009_145723.jpg

e0183009_15961.jpg



「オステオスペルマム(イエロー)」


近所の園芸店の軒先をパステルトーンの淡い黄色やピンクに染め上げる、
やや小さ目のポットに入った何とも可愛らしい宿根草に心を奪われてしまった。

まるでマーガレットみたいに沢山付いた細長い花弁は花占いにぴったりかも知れないね。
そんなロマンチックな願い事は柄じゃ無いけれど・・・でも如何しても君に占って欲しいんだよ。


それは勿論、例の事についてなんだけれど・・・もし僕の考えが間違ってなければ・・・


e0183009_0572241.jpg



“家族の食卓”の古びたテーブルに木の椅子が二つ・・・仲良く寄り添って・・・



今回は、約2年前に此方のカフェを紹介した際の物語をイメージして作りましたので、
もし宜しければ是非ともその日記の方もご覧になって頂ければと思っております。

http://navy.ap.teacup.com/spookycindy/248.html
[PR]
by mary-joanna | 2009-12-08 02:55 | 有為の奥山

ノ.美女たちの追憶

Cindy's WALKとArnold日記と・・・嘗てCindyが綴っていた二つのブログを通じて、
ほんの些細な事かも知れないが僕の心の奥底にずっと引っ掛かっていた事があった。

それはカフェやパン屋を紹介する彼のブログの本筋からは外れているのだろうが、
その“些細な事”が、二つのブログにのめり込む程、段々大きな存在になっていった。
彼の事が気になっているというのはこのElvis Cafe上でここまで散々書いてきたので
今更ではあるが、その“些細な事”は彼自身に関わるある一部分(というのかな?)だった。

尤も彼のブログには自身のプライベートに関する記述は決して多くは無いばかりか、
むしろCindyはブログに於いて自身の素性すら殆んど明かしていなかったのだ。

例えば、あるカフェの店主から聞いた話ではあるが、僕と同様に彼のブログを
参考にしてその店を訪れた人にCindyは男性であるという事を告げたところ、
ずっと女性だと思っていたのだと大変驚かれていた、との事であった・・・

かく言う僕も、Cindy's WALKを知ったばかりの頃は、実は彼は実在しない
複数の人物による架空のユニットか何かだと真剣に思っていたのだが・・・


例によってだらだらと書き綴ってきたが、肝心の、僕がずっと気になっている
彼に関するその“些細な事”とは・・・つまり、彼を取り巻く女性についてであった。
無論、当初僕は、純粋に彼が紹介するカフェやパン屋の写真や文章に魅せられて
彼に会って話がしたい、この思いを伝えたい、という気持ちでこの日記を始めた訳だが、
同時に彼の事をもっと知りたいと思う気持ちも次第に大きくなってきて、その矛先(?)は
彼を取り巻く女性について向いてゆく様になってきたのだった・・・だって彼の物語に登場する・・・

そして、この思いはElvis Cafeの今後の展開に大きな影を落としてゆく事となった。
まさかあんな結末が待っているとは、この時の僕には全く知る由も無かったのだ。
唯、彼に対する好奇心と憧れの様な気持ちから、僕はこのElvis Cafeに於いて
彼が微かに仄めかす女性の影を追い求めるささやかな行動を起こす事にした。

今回僕が紹介する花とカフェは、まさにその思いを実行するのに相応しい場所だ。
それこそ女性をイメージした花は数知れず存在するが、何と言ってもやはり・・・
更に僕の妄想に過ぎないが彼の感性を育み支えたであろう女性に対する
僕のオマージュとしてどうしてもこのタイミングで紹介したかったのだ。

けど今回の紹介が思いもよらない引き金を引く結果に繋がるなんて・・・



e0183009_13381722.jpg



敷島公園ばら園


確か前回この場所を訪れたのは、漸く暑い夏が終わり涼しくなりかけた頃・・・
“のんびりさんも宿題を終えて元気に出掛ける9月の初め”って紹介していたっけ・・・

2学期の始まりと終わりにこの地を紹介するなんて・・・偶然ばかりじゃ無いけれど・・・


e0183009_13391824.jpg



そう、此処を訪れたのは11月も半ば、前橋の木々も他の街に劣らず綺麗に色付いていた。
僕の住んでいる足利と同様(もっと早いかな?)、今頃は葉を落とし始めている頃かな。

それにしても、この日は雲が悠々と流れていって・・・まるで嘗ての彼みたいに・・・


e0183009_13393651.jpg

e0183009_13395099.jpg



今僕が立っている敷島公園ばら園では、10月中旬から11月の初めにかけて
“秋のバラフェスタ”というイベントが行われていたとの事で、期間中敷地内には
数百種数千株もの美しいバラの花がゆったりと配置され訪れる人を魅了していた。

イベントは既に終了して秋バラのピークも過ぎていたため、広大な敷地を埋め尽くす
満開に咲いた美しいバラの供宴を目にする事は叶わなかったが、広い園内の所々では
まだまだ何種類もの華麗なバラたちを楽しむ事が出来たのでゆっくりと見て回る事にした。


そして、広い敷地をひと通り回った僕は幾つかの品種をカメラに収めるべく立ち止まった。
それこそが僕が思い続けてきた“些細な事”に対する“ささやかな行動”な訳だけれど・・・



e0183009_1340813.jpg

e0183009_13402021.jpg



マリリン・モンロー


うっすらとピンクがかった淡い肌色の花弁が一枚一枚ゆったりと重なった姿は
まるでスクリーンの向こうでセクシーなポーズを取る彼女の様に映っていた。

艶めかしい程にグラマラスな佇まいに、僕の鼓動はドキドキと早まって・・・


e0183009_1340401.jpg



ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ


同じく淡いピンクのグラデーションでありながら、徐々に純白へと透き通る様は
非常に優雅で、ゴージャスな印象と気品に満ちた面持とを兼ね揃えていた。

この華麗で上品な大輪の薔薇は、まさにプリンセスの名に相応しかったが・・・
午後の日差しに照らされたプリンセスは何処か物憂げで悲しそう・・・


e0183009_13411447.jpg



オードリー・ヘップバーン


先の二人の美女に比べ、更に丸みを帯びたふんわりした柔らかなピンクの花弁は、
絶世の美女でありながら同時に親しみのある優しい雰囲気を持った貴女だからこそ!

世界中で愛されたチャーミングな王女さまを背に、僕も街を走りたいんだ・・・なんてね・・・


e0183009_13414078.jpg



ブルー・ボーイ


そんな世紀の美女たちに囲まれて、ブルーな僕も思わず頬を赤らめて・・・

さて、名残惜しくも美女たちに別れを告げてそろそろイニシャルのバラに向かおうか。


e0183009_13424794.jpg

e0183009_1343027.jpg



「ノスタルジー」


忙しなく過ぎ去っていく毎日の喧騒を忘れ、何時までも変わらない美しさを魅せてくれる。
全ては心の中の淡い思い出・・・でも、決して色あせる事無く・・・何時までも僕の心に・・・
日々僕に付き纏い、感じている諸々の焦りや不安、緊張を、ほんのひと時だけでも
ゆっくりと優しく解き解してくれるんだ・・・美しい貴女を目の前にしていると・・・

今改めて思い返してみると赤面してしまう様な、無邪気で世間知らずな経験ばかり・・・
でも、今の僕では決して出来ない、全てが一生を通じた大切な思い出ばかりなんだ!

まん丸ピンクの可愛い薔薇を前に、懐かしいあの頃にちょこっと浸った僕だった。


e0183009_13432177.jpg



でもね、彼が残した追憶の日々と・・・そして、僕が本当に気になる女性の事が脳裏に蘇ると、
それまで僕の頭の中を占めていた甘い青春(?)の思い出は何処かに消え去ってしまった。

そう・・・僕の旅は、まだまだ終わっていない・・・


何時までも色褪せる事の無い麗しい世紀の美女たちへの憧憬の思いと、そして・・・
何時までも忘れる事の無い若かりし頃の淡い青春の思い出に暫し別れを告げた僕は、
何かに引き寄せられる様に、ばら園に入る通りの角に佇む一軒の家屋へと向かったのだ。


e0183009_13302826.jpg



ぶちの店


前橋随一の緑豊かな公園の周辺という、絶好のロケーションだけあって数多くの
素敵なカフェやレストランが建ち並ぶこのエリアに於いてもひと際目を惹くその外観は、
まるでアンデルセンやグリム童話の世界から切り抜かれた様な真っ赤な瓦の三角屋根が
とても印象的で、この可愛らしいお家でのんびりとお茶とケーキを楽しむのを目的にしていた。


e0183009_1330533.jpg

e0183009_13311143.jpg



伝統的なハーフティンバー様式の真っ白な壁と縦横に走る褐色の木枠に・・・
何といっても正面に見える煉瓦の煙突が、メルヘンチックな気分に誘ってくれる。

とてもワクワクした気持ちで入り口の扉に手をかけた。


e0183009_13315116.jpg



上品な白い壁と重厚感の溢れる腰壁とが織り成すコントラストがとても良くマッチして、
更に特注で設えた腰壁と同じ意匠が施されたベンチ式のコーナースペースをも含め
木の温もりを存分に感じさせてくれるシックで落ち着いた空間を作り上げていた。

まるで西欧の田舎の邸宅に招待された様な穏やかなひと時が送れそうだ。
そして、この地に建っているのだから、勿論、店内を見渡してみると・・・


e0183009_13321069.jpg



店内の其処彼処には麗しいバラの花が活けられており、此処はまさに“薔薇の園”!
この家が先程までいたばら園の中に建っているのではと錯覚すら覚えるのだ。


e0183009_13323150.jpg



緩やかな曲線を描くアールヌーボー様式のランプはこの空間にぴったり。

しかも、ランプシェードに施された華麗なバラの隣りには、さり気無く本物のバラが
が活けられており、店主のセンス溢れるツーショットを堪能する事が出来るのだ。


e0183009_1333167.jpg



奥の空間への入り口には・・・


e0183009_13334042.jpg



お美しいご婦人がお出迎えしてくれた。


e0183009_13344747.jpg

e0183009_1335832.jpg



ロケーションから始まり、外観、内装、家具などの全てに店主の並々ならぬ拘りが感じられ、
店内に配されたクラシカルな調度品の数々までもが、この空間に見事に調和していた。


e0183009_133523100.jpg



緩やかな午後の日差しが優しく差し込む窓際のこの席に座ろう・・・

綺麗なバラをゆったりと観賞した後に、そのままの気分で頂くのはやっぱり・・・


e0183009_13354677.jpg



ロイヤルコペンハーゲン・ブルーフルーテッド(フルレース)


お茶の準備が整うと、テーブルの上には華麗な茶器のセットが並べられた。

状態の良いアンティーク品なら、カップ&ソーサーのセットだけでも
数万円の値は下らないロイヤルコペンハーゲンの人気の逸品だが、
こんなにも素敵な茶器を前にして無粋な事を言うのは止めにしようか。
 
ロイヤルコペンハーゲンを代表する清楚で繊細な白地に青色の模様は、
シルバーに輝くティーポットに反射して更に華やかさを増している様だった。


e0183009_1336795.jpg



最初の一杯は奥様自ら・・・


e0183009_1336497.jpg



マローネ


奥様がお勧めしてくれた紅茶は、この季節限定のフレイバーティーなのだが、
その香りとは、その名の通り“栗”!!・・・確かに秋の味覚には欠かせないが・・・

砂時計が落ちるのを逸る気持ちを抑えながらも待ち続け、始めの一杯を注がれると、
その瞬間にテーブルいっぱいに広がる得も言われぬ甘い薫りといったら・・・

もうこの薫りだけでも華やかな気持ちに包まれてしまうのだが、
勿論、恐る恐るカップを近づけると、更にふわっとした柔らかな、
そして、何処か素朴な円やかさも感じられ・・・これは焼き栗の、
あのほっこりとした甘い香りにも似ている様だった・・・

この芳しさは芳醇な香りだけにとどまらず、舌を通る味わいに関しても
とろりとした食感の後から濃厚な茶葉の香りや仄かな渋みに加えて、
まるでマロングラッセを食べた後の余韻の様な甘さも感じられた。


薔薇の園での優雅な時間を過ごした後に頂く午後のティータイム・・・
それは華麗な茶器と甘い香りに囲まれた、うっとりする様なひと時・・・

何もかもを忘れて、唯ぼんやりとあの頃の思い出に浸りながら・・・


e0183009_13372694.jpg



勿論、お茶と共にケーキもオーダーした。


e0183009_13375160.jpg



シャルロット・ポワール


控え目ながらもまったりとしたクリーミーなホイップクリーム。
このスイーツのメインであるふんわりとした軽い食感のムースは、
口に入れた瞬間、シュワッとした心地良い感触と共に溶けて無くなり、
ひんやりとした爽やかさとまろやかな甘さが余韻となって広がっていった。

そして何と言っても・・・ムースを覆うサクサクとした洋梨の瑞々しさ!
非常にフルーティーで、仄かに薫る酸味と自然な甘みが素晴らしい。

クリームとムースと洋梨を優しく受け止めているしっとりスポンジに至るまで、
その一つ一つ全てがまるでクラシック音楽の様に絶妙なハーモニーを奏でていた。


優雅な紅茶と優雅なスイーツのマリアージュに魅了されて・・・


e0183009_13434079.jpg



そうか・・・やっぱりキミは此処でも羽を休めに来ていたんだね・・・

でも・・・また直ぐに此処から飛び立ってしまうのだろう?
そして、また僕の手の届かない場所へと行ってしまうのだろう?


そう言えば、彼もこの店を一度訪れた事があったみたいだったけれど、
今回の僕の様にこの店にも一人で訪れたのかな?・・・それとも・・・
[PR]
by mary-joanna | 2009-12-03 00:29 | 有為の奥山