<< ア.あの木のトンネルの先では エ.See Emily Play >>

テ.hibiの花

日々の暮らしをちょっぴり豊かにしてくれる場所があるという・・・

 衣食足りて礼節を知る

素敵な衣装や美味しい食べ物と一緒なら、もっと大らかな気持ちになれるよね?
頭の片隅でそんな事を考えながら、僕はある街に向かって車を走らせていた。

普段の生活を今より少しだけ華やかにする為に・・・
お気に入りのものに囲まれた毎日を過ごす為に・・・
変に無理して派手に着飾ったりするのではなく・・・
緊張してずっと肩肘を張ったりするのでもない・・・

・・・そう、日々の暮らしを大切にしたいから・・・


シンプルだけれど長く愛用したくなる、そんな日々の宝物を探しに・・・
そして、ゆったりとした気持ちで心から寛げる大好きなカフェに・・・

1月も後半になり新年という言葉を持ち出すのも憚れる今日この頃、
唯ひたすら彼のいる場所に向かって突き進んだ忙しない毎日を、
イニシャルの花を追い求めて奔走したこの半年に渡る日々を、
少し立ち止まって・・・ペースダウンして・・・振り返って・・・


そんな僕が自分を見つめ直す為に訪れる場所と言ったら、勿論・・・
あの場所に決まっているんだ・・・Elvis Cafeなのだから・・・


e0183009_13453525.jpg



三国橋


群馬・・・栃木・・・埼玉・・・そして、茨城と、4つの県にまたがる場所・・・渡良瀬遊水地。
この三国橋を渡ると直ぐに古河の市街地へと入ってゆくが・・・この橋の向かって右手には、
視界いっぱいに谷中湖とヨシ原が広がっていてその圧倒的な景色に何時も魅入ってしまう。

橋を渡って直ぐの角を折れて大通りから外れ、古河の旧市街地へと向かって更に進むと、
道幅に比例するかのように小さいけれど味のある古びた建物が軒を連ねるようになる。
そんな昔の面影を残す情緒ある路地沿いに僕がこの街で必ず立ち寄るカフェがある。


e0183009_1346263.jpg

e0183009_13461471.jpg



Ocha-Nova


駅の直ぐ側にある脇道は車がやっとすれ違える程の道幅しかなかったけれど、
オリオン商店街と名付けられた細い路地には何処か懐かしい空気が漂っていた。

そんなオリオン商店街をするすると暫く進んでいくとやがて前方に見えてくるのが、
インパクトのある真っ赤なポールと爽やかなスカイブルーのスクエアーなこの建物。

僕にとって特別な存在であるこのカフェは、同時にふらりと寄れる日々のカフェなのだ。
ある時は、目的の花を求めて広大な遊水地を歩き回ってヘトヘトになったその後で、
またある時は、街の外れのケーキ屋に立ち寄るその前に、更には古河の街中の
路地裏にある雑貨屋巡りのお伴として・・・このカフェは欠かせない存在だった。

そう、毎日の生活の一部として全く気兼ねする事の無い寛ぎの場所・・・


e0183009_13471245.jpg

e0183009_13473590.jpg



中に入って直ぐの、カウンターの向かい側には、さり気無く植物が飾られている。
どの鉢も生き生きとして、瑞々しいグリーンの手足をゆったり伸ばして寛いでいた。

間口に対して奥行きのあるこのカフェの、一番奥の空間が僕のお気に入りとなっていた。
これまでもそうであったように、挨拶を済ませた僕は直ぐに奥のスペースへ向かう事にした。

この前此処に訪れたのは秋の風に遊水地のヨシ原が黄金色に揺れる9月の終わり頃、
もう彼是4カ月もの歳月が過ぎ、頭を垂れていたヨシの稲穂もすっかりと枯れ切っていた。
そんな季節の移ろいは、この奥の開けたスペースでも直ぐ感じ取る事が出来た・・・だって・・・


e0183009_1348433.jpg



 冬はつとめて。
 雪の降りたるは言ふべきにもあらず、
 霜のいと白きも、またさらでもいと寒きに、
 火など急ぎおこして、炭持てわたるも、いとつきづきし。



オープン直後の早い時間にお邪魔した事もあり、“寒いでしょう?”と、
さり気無くストーブに火を入れてくれた。時間と共に上に乗せたやかんに
白い湯気が立ち上ってゆく・・・これぞまさに、日々の冬の情景ではないか!


e0183009_13482569.jpg



更に、隣りのベンチにはもこもこっとして温かそうなブランケットも置かれていて・・・

本当・・・“いとつきづきし”・・・だよね・・・


e0183009_13492236.jpg



Ocha-Novaで僕が着く場所と言えば、決まってこの二人掛けのテーブルなんだ。
あの彼もお気に入りのテーブルだったけれど、この日は小さな先客が寛いでいた・・・


e0183009_1351247.jpg



やぁ、気持ち良さそうに羽を休める小鳥さん、またキミに会う事が出来たね!
キミは何時だって僕がお気に入りにしているカフェに先回りしているんだ・・・

ところで・・・キミの家って、一体何処にあるんだい?
今度キミが寝床にしている“巣”を紹介してくれないか?


e0183009_13513497.jpg



何時ものあのテーブルは小鳥さんに先を越されちゃったし・・・
じゃあ、今日は前から気になっていた此方のテーブルにしようか。

えぇ~っと、メニューは何処に・・・あっ!


e0183009_13522242.jpg



チリンチリン・・・このテーブルにはキミが運んできてくれるんだね。
そうか、じゃあ・・・ちょうどお腹も空いてきたところだし、これにしようか!


e0183009_13544039.jpg

e0183009_13545531.jpg



ハニーチーズトースト


カリッカリにトーストされた表面の熱々でパリパリとっした香ばしい食感・・・
豪快に両手で引き裂くと中からふんわり広がってくる仄かな甘い薫り・・・
絹のように滑らかでしっとりふかふかな分厚い生地の優しい舌触り・・・
そして表面や生地にもマッチするモギュモギュした歯応えの耳も・・・

パンだけでも生地から耳まで最高なのに・・・

トッピングされたチーズとはちみつが表面の熱で溶け出して、
チーズのまろやかな風味とはちみつの濃厚な甘さが一緒になって
とろとろ~っと温かいトーストの中に染み込んで絶妙に絡み合っていく。

更に、身体全体に沁み渡る温かい野菜スープまで付いてくるなんて・・・
毎日食べている朝食トーストもこのカフェなら最高のごちそうになるんだ!!


e0183009_13554267.jpg



カフェラテ


毎回とても楽しみにしているラテアート君、今日はどんな子に会う事が出来るのかな?

あぁ、そうだったね・・・年男の元気なキミが新年の挨拶に来てくれたんだね。
春までの付き合いになるかも知れないけれど、また遊びに来るからよろしくね!


さて、お腹もいっぱいになったし可愛い虎クンにも会ったし、そろそろ出掛けようか?
僕の毎日を更に楽しく、そして大切に感じさせてくれる・・・日々の宝物を探しに・・・


e0183009_1114593.jpg



所々剥げ落ちているのが却って歴史の重みを感じさせる大層立派な赤煉瓦の塀。
その中には煉瓦造りの塀にも負けない重厚な漆喰の蔵が綺麗に残されている。
近くに小さな神社があり、境内に不釣り合いな程の大きな銀杏が立っていた。

先のオリオン商店街から更に細い路地に入って暫く進んだ通り沿いには、
まるで昭和の、いや、更に前の古き良き古河の街にタイムスリップしたような、
風情のある歴史の風景を垣間見る事が出来た。そして、僕が訪れる場所だって・・・


e0183009_11151791.jpg

e0183009_11154518.jpg



hibi


以前は理容店であった此方の建物。嘗ては街の人々の身だしなみを整えてくれるばかりか
憩いの場でもあったであろう小さな平屋は、時を経た現在も、街の人々の毎日の生活に
欠かせない衣食住の大切なモノを提供してくれる場としてこの路地沿いに佇んでいた。

ちょっぴりくすんだブルーのドアが優しく見つめているのは・・・あの大きな銀杏の木!


e0183009_11204269.jpg



実際の間取り以上に感じる広々とした空間には、大きなテーブルと大きな食器棚。
其処には陶器を中心に食器類がゆったりと並べられて・・・どれも気持ち良さそうだね。

この空間でのんびりと食器を眺めていると、僕の方もゆったりとした気持ちになるんだ。
そう、このゆとりが欲しかったんだ・・・これまでずっと、追い立てられて今日まできたから・・・


e0183009_11211735.jpg

e0183009_11213329.jpg



大浦裕記さん


ポットに・・・カップに・・・花器まで!毎日の生活に必要なものだからこそ、お気に入りのものを使いたい。


e0183009_11224413.jpg

e0183009_1123373.jpg



視線を先の方に向けてみると、奥に一段高くなったスペースが広がっていた。
左端に置かれたアンティークのガラス棚が気になったので近付いてみる事にした。


e0183009_11263931.jpg



棚の傍に掛けてあったのが針金で作られた此方のキューブ。シンプルな形状なのに、
何時までも眺めていたい衝動に駆られ・・・様々な事を連想するうちに無心になっていく・・・


e0183009_11292085.jpg



関昌生さんの針金細工


遠くの方に街が見えるよ・・・
まるで針金みたいにほっそりと・・・
何だかキラキラと輝いている・・・

遠くの方に街が見えるよ・・・
どんなに沢山歩いてみても・・・
全然大きくならない街だ・・・


遠くの方に見える街には・・・
たったひとつの移動手段だ・・・
希望という名の飛行機で・・・


e0183009_11293922.jpg



そう、ほっそりとして、キラキラとして・・・
この先ずっと色褪せない飛行機で飛ぶんだ・・・

遠くの方に見える街には・・・


e0183009_11315017.jpg



奥のスペースは“衣”の空間となっており、その突き当りには帽子がディスプレイされていた。


e0183009_11331732.jpg



平岡あゆみさんの帽子を被って・・・


e0183009_11333863.jpg



オールドマンズテーラーのジャケットとストールで決めて・・・


e0183009_113441.jpg



warangwayanのバブーシュ履いて・・・


e0183009_1134273.jpg



・・・バスケット片手にお出掛けしよう!!


毎日のお散歩もこれならきっとウキウキするよね!


e0183009_11355741.jpg

e0183009_113610100.jpg



手前のスペースに戻った僕は、この店で如何しても手に入れたかったアレを探す事にした。


e0183009_11372095.jpg



安藤雅信さん


氏の作り出すうっとりするような滑らかな白い器は、ずっと触れていたくなるんだ。


e0183009_11374119.jpg



松徳硝子 うすはりグラス


創業大正11年、東京の下町、墨田区で誕生した電球用のガラス製造工場は、
当時のハイテク製品でもあった電球の球の製造から約90年の長い歴史を経て、
その伝統の職人技を今に伝える老舗の町工場として国内外から注目を集めていた。

そして、あのコミカルでありながらそれ以外には考えられない形状となった電球の球の、
ポコっとした薄いガラス球を吹く技術を究極に進化させたのがこの“うすはりグラス”なのだ。

そう、この下町の職人による粋な伝統の技の結晶こそ、今回僕が手に入れたかった
“日々の生活”を彩る器であり、この“類い稀な日用品”と共に紹介したかった花こそ・・・


e0183009_13411730.jpg



「デージー」


・・・“日々の花”として、毎日の生活に彩りを添えてくれる、この「デージー」なのだ!

真っ白なボンボンの中から“おひさまの目”が僕たちを見守ってくれる。

綺麗な冬の青空の下、今日も一日変わりは無いかい?って、にこやかに・・・
そんな毎日の生活をもっと楽しく、そしてもっと大切に送りたかったんだ・・・

日々の楽しみ・・・
日々の食卓・・・
日々の装い・・・
日々の花・・・

古びた細い路地裏だけど・・・とっても小さな一軒家だけど・・・
日々の生活を素敵に過ごすエッセンスがいっぱい詰まった可愛いお家。


e0183009_13433880.jpg

e0183009_13435176.jpg



古河の街に別れを告げるのが心惜しかった僕は、駅の周りの旧市街を散策する事にした。
江戸時代に宿場町として栄えた歴史を感じさせる街並みは、今なお街の随所に残されており、
通り沿いを散歩していると趣きのある古い家屋を確認する事が出来、その情景に暫し浸っていた。

更に街の奥へと路地を進むと、前方に何かの石碑が立っていたので思わず近付いてみる事にした。


e0183009_13442452.jpg



日光街道・古河宿道標


へぇ・・・この道は遠く日光まで続いているのか・・・

次のイニシャルは・・・もう「ア」の花になるんだったね・・・
そう言えば、“あの花”を活けてあるから遊びにきなよ!ってKさんも誘ってくれたっけ・・・
それならば、もう躊躇する事なんか無いじゃないか!だってこの道を真っ直ぐに進めば・・・


e0183009_13444223.jpg



次回のElvis Cafeですが、少し“時間軸”がずれた?設定になります。
・・・勿論、「ア」のイニシャルの花は紹介しますが・・・
[PR]
by mary-joanna | 2010-01-20 13:32 | 今日越えて
<< ア.あの木のトンネルの先では エ.See Emily Play >>