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マ.Loomer's room

僕の初めての(そして恐らくは最後の)ブログであるこのElvis Cafeも7月の後半に
イロハの「イ」の花でスタートしてから、早いもので彼是5ヵ月が過ぎようとしていた。

尤も、このブログを始めるようになってから少ないながらも目にするようになった
他の方たちのブログみたいに毎日の更新という訳にはいかず、約半年近くの間で
未だに30回にも満たないスローなペースでの半ば忘れ去られた存在と化していた。
それは、あのCindyの紹介によって言わば鳴り物入りで開始した際のアクセス数や
はじめまして&期待している系のコメントも直ぐに鳴りを潜めて、相当早い段階から
その両方共すっかり落ち着いてしまった事実からも容易に察する事が出来たのだ。

そんな、開始時の好奇の目に晒されていた時期に一段落したのを見計らったかのように
僕にコンタクトを取ってきたのが、Brit Boyやパピヨンといった例のグループだったのだ。
彼等はコメントやメール等の仮想世界に留まらず、実際に僕の目の前に現れてきた・・・
つまり、僕は彼等グループに顔を晒してしまった事になるが、それは彼等とて同じ事。
そしてCindyという共通の目的の為に、遂には彼等との取り引きに応じてしまった・・・



 Littleくん、俺とはあの時VIRONで会って以来だけど、元気にしてた?
 な~んてね・・・君のブログはもちろん毎回チェックしてるから大丈夫だよ♪
 相変わらず本家のCindy並みにあちこち駆け回っているみたいだね~!!

 ところでさぁ、この前パピヨンと交わした約束だけど、どうなったのかい?
 先月、浅草の天国に行ってきたんだね・・・ブログは見せてもらったけど、
 それっきりじゃん!他の店もバンバンと紹介してくれなくちゃ困るよ~!

 しかも肝心のリストの方はほったらかしにして・・・よりによって・・・
 “ブライアンのカフェ”に行くなんて!!あれにはマジでビビったぜ!!
 あまり時間は無いんじゃないか?・・・宜しく頼んだよ、“二代目”さん。



Brit Boyから上記(原文通り)の鍵コメントが届いたのは、同郷のパン好きとして彼ならずとも
何時か訪れてみたいと思っていた、益子町にある憧れの森のパン屋を紹介した夜だった。
早かれ遅かれ彼等からの催促のコメント(またはメール)が来るのは時間の問題だろうと
思いながらも、あえて僕はリスト以外の店を紹介していたのである程度予想はしていた。

尤もジョンと兄との物語のパン屋の直後だというのも、後から考えると感慨深いのだが・・・
実は次にリストの店を訪れるのは、彼等が痺れを切らして催促してからの事にしようと
前もって決めていたので、この結果は想定の範囲であって次に行く店も決めていた。


それは・・・その前に、僕も彼に倣って市販のチョコレート菓子の紹介から始めようか。


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近所のスーパーで購入したこのチョコレートには国産シングルモルトウイスキーの
山崎が中に入っており、チョコの中からフワッと広がる芳醇な香りと奥深い味わいは
まさにプレミアムウイスキーそのもの・・・勿論、チョコレートとの相性も抜群だった。

今回僕が紹介する例のリストに名を連ねた店であるが、そのリストの元にもなった
彼のあの物語でのこの店の紹介もこんなチョコレート菓子の写真から始まっていた。
チョコレートと洋酒の優美なマリアージュ・・・でも、その後の文章の中には、その後の
物語のヒントとも取る事の出来る記述が含まれていた・・・そして、今回紹介した後にも・・・


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彼の紹介では6月半ば、物語の主人公でもある語り手の青年が勤務している学習塾の
1学期中間テスト対策補講も終わったごく平凡な一日の遅い朝、という設定になっていた。
如何やら彼も僕と同じ学習塾の講師という職業に就いていたようだ・・・意外と近くにいるのかな?

それなら、今回僕が訪れたのは2学期期末テスト対策補講が終わった12月の中旬の一日。
ただし、こっちには来月(来年!)早々に控えている高校入試があるので、“緩く”は無いが・・・

そしてやって来たのは県を越えて足利の隣りに位置している群馬県館林市の郊外。
大きな都市という訳では無い為、市の中心から10分も車を走らせると長閑な田畑の
風景が辺り一面を覆っていて、収穫を終え剥き出しになった大地を眺める事が出来た。


見渡す限り雲一つ無い青空の下、視界の先には雑木林が小さく見てとれた。
この感じは、何処となく“あの橋のムコウ側”にも通じなくも無い気がしたが・・・

農道の脇に流れる用水路の側の草むらで、ピンク色に輝く小さな花を見つけた。


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ホトケノザ


先日金山で出会ったヤマツツジは本来は5月前後に花を咲かせるそうで、実際、
駐車場から神社までの決して短くは無い行程で見掛けたのはあの群生だけだった。

今僕の目の前で、まるでお辞儀をしかけているように可愛らしい姿を見せてくれる
この濡れて滲んだみたいなピンク色の小さな筒状の花も、本来の花期は早春との事。

これまで花期の関係で散々奔走し紹介を諦めた僕の苦労などお構い無しとばかりに、
全くの季節外れに可憐な花を咲かせている光景に、やはり無心で魅入る僕だった。


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えんや


件の物語の語り手であるWilliam青年がArnoldとの距離を近付けるきっかけとなった、
“群馬県T市の市街地からやや外れた場所”に位置する喫茶店・・・館林市と既に書いたが・・・

今回僕が例のリストの中から選んだのは、足利市の隣り街にある紛れもないこの店だった。

それは、先の語り手が憧れていた人物と交流を築く事になったこの場所に現を担いで、
僕もあの人物に一歩でも近付きたいとの願いを込めての選択であるのも、無論確かだが。


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自家焙煎珈琲の店


そんな、William青年に大胆な一歩を踏み出させたのは本格珈琲が楽しめる店。

こんな周りに何も無い所に?・・・いや、これまで彼が紹介してきた店には
得てしてこの様なロケーションに溶け込んでいる店が少なくは無かったのだ。


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目の前に広がる畑は剥き出しになった黒々とした土が僕の視界を占めていた。
物寂しい風景ではあるが、また新しい恵みに備えてジッと待っている大地の姿は、
この地でずっと続いてきた自然と人間との共同の営みである事を改めて感じさせる。


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煉瓦を積んだ門柱の上に置かれた鉢の白い花が、時期を過ぎて枯れかけの潅木と
生気を失いつつある芝生の寒々とした庭に控え目で可憐な印象を与えてくれていた。
また春になったら青々とした庭園に魅了される事だろうと思いつつ石畳の上を歩いた。

でも、そんな芝生の中でさり気無く訪問者を出迎えてくれるモノがいたのだ。


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こんにちは黄色い花さん、他のみんなはもう往ってしまったのかな?


石畳の小路からウッドデッキを上がった先に菱形に組まれた木の扉が待っており、
組み合わせた板自体がスタイリッシュなデザインとなった扉がこの店の入口だった。


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キミはそのダイヤの目で、目の前の大地をずっと眺めていたんだね・・・


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扉と店内とを結ぶスペースで見つけたのは勿論・・・珈琲の専門店なのだから・・・


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入ると直ぐにケーキのショーケースが控えていて、その中でまるで宝石のように
キラキラと輝くチョコレートケーキやいちごのタルトに・・・思わず唾を飲み込んでいた。

ケーキに見惚れてしまった僕だったが、振り返った光景は心安らぐ喫茶店の姿だった。


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重厚な木製の天板が素晴らしいカウンターの奥には煉瓦造りの“焙煎室”も備わり、
ガラス越しに覗う事の出来るその部屋の中ではマスターが焙煎をしている最中だった。

更にもう一つ、珈琲専門店に無くてはならないものと言えば・・・


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背面の棚に収まり切らない珈琲豆の瓶がカウンターに沿って綺麗に並んでいた。

生産国はもとより産地によって最良の焙煎が施された、黒く輝く珈琲豆の瓶を
ぼんやりと眺めながら、豆の故郷に想いを馳せ・・・いや、僕が考える事と言えば・・・


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恐らく珈琲の店にとっては命とも言える、この存在感抜群の焙煎機・・・
そして、それを証明するかのように与えられた専用の部屋の前には・・・

そう、キミがこの店の看板を背負っているんだよね・・・
珈琲で勝負するって意気込みとプライドを掛けた看板をね・・・


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プライドと言えば、マイセンの歴史と誇りを誇示する双剣のサイン。


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更にカウンターの端のキャビネットに目を向けると、その中で厳重に陳列されていたセットは・・・
金の装飾の描かれた澄んだコバルトブルーに輝くセーブルの、何と気品に満ち溢れている事だろう。

このキャビネットにはセーブルの他にもギャラリーや美術館クラスの逸品がディスプレイされていた。


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更にキャビネット以外にも僕の目を釘付けにするプレミアムカップが至る所に置かれていた。


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ドラゴンメロディー


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猟師のほら話


括り付けられた棚で見掛けた、現代マイセンのマイスターの一人であるハインツ・ヴェルナー氏に
よって息吹を吹き込まれた、まるでおとぎ話のワンシーンを見ているような作品にも出会えた


インドの花を筆頭に、マイセンの栄華を極めたマスターピースが所狭しと並べられており、
それは正しく宝石や美術品が放つオーラを帯びた輝きにも全く引けを取らないものであった。

これまで紹介した作品も勿論そうであるが、この他にもマイセンには花をモチーフにした作品が
沢山存在し、それは現在花を紹介しながらカフェを回る僕にとって大きな刺激となってくれた。


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アーモンドの樹


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ローズ・シリーズ


清楚な純白の地肌に緻密に描かれた潤んだ花弁たちが可憐に舞っていて・・・何て美しいんだ!!

アーティストと呼ぶに相応しい熟練の絵師たちによる、全てが手作業の一点ものである。
そんな貴重なマイセンのカップが街の外れの喫茶店にここまで集められているなんて・・・


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ヘレンド(2枚目はフォーシーズンと名付けられたカップ&ソーサー)


ドイツのマイセン・・・フランスのセーブル・・・そして、ハンガリーのヘレンド・・・

セレブリティのステータスの一つとして、この様な陶磁器のセットをコレクションするのは
欧州各国の貴族階級によって寵愛され続けてきたのだろうが・・・何て優雅な意匠なんだ!


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店内を彩るカップ&ソーサーを最大限に引き立てる為か、店内はシンプルにまとめられ
テーブルやチェアー等も、上品な印象を醸しながらも落ち着いた雰囲気で統一されていた。

勿論、カップやコーヒー、スイーツをより楽しんで頂きたいという配慮もあるのだろうが、
木目の輝きが美しいカウンターやカップがディスプレイされた棚も含め、控え目ながらも
この木の温もりの中でまったりとした気分に浸りながら緩やかな時間を過ごす事が出来た。


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此処までカラフルな作品を見せて頂いた僕が今回オーダーしたコーヒー&ケーキは何と・・・
全く色が無いのだ!!そんなカラーレスの注文にどんな色が添えられるのかと思っていたら・・・

マスターのセンスと感性の高さに、僕はもう完全に脱帽するしか無かった・・・


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ガトー・クラシック・オ・ショコラ(チョコレートケーキ)


極上のカップとコーヒーを提供するこの店の事だから、ケーキは勿論、
コーヒーと共に頂くスイーツやパンも、最高に拘り抜いたものばかりだった。

そんなスペシャルなスイーツの中で今回僕が選んだのが此方のケーキだった。
定番中の定番でもあるガトー・ショコラをチョイスしたのは、ケースで目にした際に
一目惚れしてしまったのが正直な処であるが、この店が“例の物語のリストの店”
という事も勿論考え、その物語で言及された方に捧げる意味合いもあったのだった。


ほんのりと色付いた、まさにミルクチョコレート色とも呼べる表面はふんわりと焼かれた
軽い感触でサックリと仄かな香ばしささえ漂ってくるが、その感覚は一瞬でしか無かった。
と言うのも、フォークを口の中に入れた際に感じられる表面の内側のギュッと詰まった質感と、
中心に進むにつれ増してゆくしっとりとした滑らかな食感、中心はクリームの様にとろけていた。

この様々な顔を見せてくれる食感を、ミルキーなチョコレートで味わう事が出来るのだった。
ややほろ苦く香ばしい表面から、段々と口の中で溶けたチョコレートの濃厚な風味と甘さが
そのクリーミーな舌触りと共にゆっくりと広がってゆき・・・それはそれは、幸せなひと時だった。


そんなチョコレート・ケーキと共に頂くのも、この白と青のカップ&ソーサーに映えるコーヒー。


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グァテマラ(中深炒り)


僕がカップに夢中になっている間、カウンターの向こう側ではマスターが豆を挽き、淹れていた。
何一つ変わる事は無いその無駄の無い動きは、まさにマイスターだけが手にする事の出来る技だ。
寡黙なマスターが淡々と珈琲を入れる間の静寂した凛とした雰囲気の中、コポコポというポットから
お湯の流れ出る微かな音が部屋全体に響き渡り、同時に芳しいふくよかな薫りが鼻孔を擽り始めた。

そうして運ばれてきた至極とも言える一杯の珈琲のブラックオニキスのような輝きといったら!

舌に付けた瞬間、心地良い熱気の中から滑らかでややとろみすら感じられる口当たりのコーヒーから
口の中を刺激するインパクトのある苦味。そのビターな風味から感じる酸味とコクに唸ってしまった。

仄かなローストの薫りが落ち着きと安らぎを与えてくれる。ゆらゆらと不規則な軌跡を描きながら
立ち上る湯気と共に広がる、仄かに甘さと芳ばしさを帯びながらも何とも言えない豊かな香り。
この香りに包まれていると、此処だけが外界から隔絶され時がゆるやかに流れてゆくようだ。

そして、この最高の一杯が注がれているカップ&ソーサーはマイセンを象徴する・・・


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ブルー・オーキッド


“花を紹介するブログを綴っている”という僕の申し出にマスターが粋な計らいをしてくれた。


前出のハインツ・ヴェルナー氏の代表作の一つでもある此方のモチーフは・・・
何と、白地の表面にシンプルな青色の釉薬で描かれた“蘭の花(オーキッド)”!

生き物の手足の様にくねらせた枝振りからデフォルメされた大きな蘭の花は、
青一色の濃淡だけで花弁の繊細な表情を完全に表現し切っている様にも思えた。

彼のブルー・オニオンと並んで現在のマイセンでも1・2を争う人気シリーズであるが、
何処か日本古来の焼物にも通じる部分もあり、それでいて西洋の優雅さをも兼ね備えた、
そんな現代マイセンの逸品を恐る恐る手にしながらも、何時までも飽きる事無く眺めていた。



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えんやでの甘い余韻にもう少し浸っていたかった僕は、焼き菓子を買って帰る事にした。
まるで花弁みたいなひらひらとした形の可愛らしい焼き菓子と一緒に合わせるのは・・・


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「マーガレット」


今シーズンの花期は既に終了し、専門店では早くも来春に向けての花が準備されるとの事だが、
偶然にも近所の店でほんのりと淡いピンク色を付けた此方の鉢植えを手に入れる事が出来た。

マイセンの花柄の中にはこのマーガレットも存在するのだが、唯でさえ入手困難なマイセンの、
しかも市場に中々出回らないレアな絵柄との事で、残念ながら実物を見る事は叶わなかった。
だが、今僕が目にしているのは、紛れも無い正真正銘“本物の”マーガレットの花ではないか!

白い花弁とはまた違った、仄かな甘い香りと共に可憐な少女の様な姿を見せるピンクの花弁。
しかし、こんな可愛らしい花がもう少しで儚くも散ってしまうのだから、カップの絵柄に留め、
この美しさを後世に長く残してゆきたいという人々の想いも十分に頷けてしまうのだった。


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今回のBrit Boyによる鍵コメントは気の短い彼が焦って送ったものか、それともパピヨンか・・・
あるいは僕が未だ知らない他の(彼の物語にはあと数名の登場人物の名が出てくる)メンバーが
彼に送らせたものなのかは定かでは無いのだが、大丈夫・・・僕だってちゃんと考えているのだから。


そう言えば、このえんやの紹介をUPしてから2~3日経ったある日、二つの鍵コメントがあった。

一つは匿名の、それもたったのワンフレーズ、“咎無くて死す”とだけ書かれていたのだが・・・
コメント欄を見た瞬間ドキっとしたが、これが紹介に対する彼等からの報酬なのだろうか?
もしそうでないとしたら、このいろは歌の暗号を引用した謎めいたコメントは一体誰が・・・

そしてもう一つは・・・何とあの人物からの誘いのコメント、しかもプレゼントもあるなんて!
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by mary-joanna | 2009-12-22 13:12 | 有為の奥山
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