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ノ.美女たちの追憶

Cindy's WALKとArnold日記と・・・嘗てCindyが綴っていた二つのブログを通じて、
ほんの些細な事かも知れないが僕の心の奥底にずっと引っ掛かっていた事があった。

それはカフェやパン屋を紹介する彼のブログの本筋からは外れているのだろうが、
その“些細な事”が、二つのブログにのめり込む程、段々大きな存在になっていった。
彼の事が気になっているというのはこのElvis Cafe上でここまで散々書いてきたので
今更ではあるが、その“些細な事”は彼自身に関わるある一部分(というのかな?)だった。

尤も彼のブログには自身のプライベートに関する記述は決して多くは無いばかりか、
むしろCindyはブログに於いて自身の素性すら殆んど明かしていなかったのだ。

例えば、あるカフェの店主から聞いた話ではあるが、僕と同様に彼のブログを
参考にしてその店を訪れた人にCindyは男性であるという事を告げたところ、
ずっと女性だと思っていたのだと大変驚かれていた、との事であった・・・

かく言う僕も、Cindy's WALKを知ったばかりの頃は、実は彼は実在しない
複数の人物による架空のユニットか何かだと真剣に思っていたのだが・・・


例によってだらだらと書き綴ってきたが、肝心の、僕がずっと気になっている
彼に関するその“些細な事”とは・・・つまり、彼を取り巻く女性についてであった。
無論、当初僕は、純粋に彼が紹介するカフェやパン屋の写真や文章に魅せられて
彼に会って話がしたい、この思いを伝えたい、という気持ちでこの日記を始めた訳だが、
同時に彼の事をもっと知りたいと思う気持ちも次第に大きくなってきて、その矛先(?)は
彼を取り巻く女性について向いてゆく様になってきたのだった・・・だって彼の物語に登場する・・・

そして、この思いはElvis Cafeの今後の展開に大きな影を落としてゆく事となった。
まさかあんな結末が待っているとは、この時の僕には全く知る由も無かったのだ。
唯、彼に対する好奇心と憧れの様な気持ちから、僕はこのElvis Cafeに於いて
彼が微かに仄めかす女性の影を追い求めるささやかな行動を起こす事にした。

今回僕が紹介する花とカフェは、まさにその思いを実行するのに相応しい場所だ。
それこそ女性をイメージした花は数知れず存在するが、何と言ってもやはり・・・
更に僕の妄想に過ぎないが彼の感性を育み支えたであろう女性に対する
僕のオマージュとしてどうしてもこのタイミングで紹介したかったのだ。

けど今回の紹介が思いもよらない引き金を引く結果に繋がるなんて・・・



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敷島公園ばら園


確か前回この場所を訪れたのは、漸く暑い夏が終わり涼しくなりかけた頃・・・
“のんびりさんも宿題を終えて元気に出掛ける9月の初め”って紹介していたっけ・・・

2学期の始まりと終わりにこの地を紹介するなんて・・・偶然ばかりじゃ無いけれど・・・


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そう、此処を訪れたのは11月も半ば、前橋の木々も他の街に劣らず綺麗に色付いていた。
僕の住んでいる足利と同様(もっと早いかな?)、今頃は葉を落とし始めている頃かな。

それにしても、この日は雲が悠々と流れていって・・・まるで嘗ての彼みたいに・・・


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今僕が立っている敷島公園ばら園では、10月中旬から11月の初めにかけて
“秋のバラフェスタ”というイベントが行われていたとの事で、期間中敷地内には
数百種数千株もの美しいバラの花がゆったりと配置され訪れる人を魅了していた。

イベントは既に終了して秋バラのピークも過ぎていたため、広大な敷地を埋め尽くす
満開に咲いた美しいバラの供宴を目にする事は叶わなかったが、広い園内の所々では
まだまだ何種類もの華麗なバラたちを楽しむ事が出来たのでゆっくりと見て回る事にした。


そして、広い敷地をひと通り回った僕は幾つかの品種をカメラに収めるべく立ち止まった。
それこそが僕が思い続けてきた“些細な事”に対する“ささやかな行動”な訳だけれど・・・



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マリリン・モンロー


うっすらとピンクがかった淡い肌色の花弁が一枚一枚ゆったりと重なった姿は
まるでスクリーンの向こうでセクシーなポーズを取る彼女の様に映っていた。

艶めかしい程にグラマラスな佇まいに、僕の鼓動はドキドキと早まって・・・


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ダイアナ・プリンセス・オブ・ウェールズ


同じく淡いピンクのグラデーションでありながら、徐々に純白へと透き通る様は
非常に優雅で、ゴージャスな印象と気品に満ちた面持とを兼ね揃えていた。

この華麗で上品な大輪の薔薇は、まさにプリンセスの名に相応しかったが・・・
午後の日差しに照らされたプリンセスは何処か物憂げで悲しそう・・・


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オードリー・ヘップバーン


先の二人の美女に比べ、更に丸みを帯びたふんわりした柔らかなピンクの花弁は、
絶世の美女でありながら同時に親しみのある優しい雰囲気を持った貴女だからこそ!

世界中で愛されたチャーミングな王女さまを背に、僕も街を走りたいんだ・・・なんてね・・・


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ブルー・ボーイ


そんな世紀の美女たちに囲まれて、ブルーな僕も思わず頬を赤らめて・・・

さて、名残惜しくも美女たちに別れを告げてそろそろイニシャルのバラに向かおうか。


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「ノスタルジー」


忙しなく過ぎ去っていく毎日の喧騒を忘れ、何時までも変わらない美しさを魅せてくれる。
全ては心の中の淡い思い出・・・でも、決して色あせる事無く・・・何時までも僕の心に・・・
日々僕に付き纏い、感じている諸々の焦りや不安、緊張を、ほんのひと時だけでも
ゆっくりと優しく解き解してくれるんだ・・・美しい貴女を目の前にしていると・・・

今改めて思い返してみると赤面してしまう様な、無邪気で世間知らずな経験ばかり・・・
でも、今の僕では決して出来ない、全てが一生を通じた大切な思い出ばかりなんだ!

まん丸ピンクの可愛い薔薇を前に、懐かしいあの頃にちょこっと浸った僕だった。


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でもね、彼が残した追憶の日々と・・・そして、僕が本当に気になる女性の事が脳裏に蘇ると、
それまで僕の頭の中を占めていた甘い青春(?)の思い出は何処かに消え去ってしまった。

そう・・・僕の旅は、まだまだ終わっていない・・・


何時までも色褪せる事の無い麗しい世紀の美女たちへの憧憬の思いと、そして・・・
何時までも忘れる事の無い若かりし頃の淡い青春の思い出に暫し別れを告げた僕は、
何かに引き寄せられる様に、ばら園に入る通りの角に佇む一軒の家屋へと向かったのだ。


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ぶちの店


前橋随一の緑豊かな公園の周辺という、絶好のロケーションだけあって数多くの
素敵なカフェやレストランが建ち並ぶこのエリアに於いてもひと際目を惹くその外観は、
まるでアンデルセンやグリム童話の世界から切り抜かれた様な真っ赤な瓦の三角屋根が
とても印象的で、この可愛らしいお家でのんびりとお茶とケーキを楽しむのを目的にしていた。


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伝統的なハーフティンバー様式の真っ白な壁と縦横に走る褐色の木枠に・・・
何といっても正面に見える煉瓦の煙突が、メルヘンチックな気分に誘ってくれる。

とてもワクワクした気持ちで入り口の扉に手をかけた。


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上品な白い壁と重厚感の溢れる腰壁とが織り成すコントラストがとても良くマッチして、
更に特注で設えた腰壁と同じ意匠が施されたベンチ式のコーナースペースをも含め
木の温もりを存分に感じさせてくれるシックで落ち着いた空間を作り上げていた。

まるで西欧の田舎の邸宅に招待された様な穏やかなひと時が送れそうだ。
そして、この地に建っているのだから、勿論、店内を見渡してみると・・・


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店内の其処彼処には麗しいバラの花が活けられており、此処はまさに“薔薇の園”!
この家が先程までいたばら園の中に建っているのではと錯覚すら覚えるのだ。


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緩やかな曲線を描くアールヌーボー様式のランプはこの空間にぴったり。

しかも、ランプシェードに施された華麗なバラの隣りには、さり気無く本物のバラが
が活けられており、店主のセンス溢れるツーショットを堪能する事が出来るのだ。


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奥の空間への入り口には・・・


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お美しいご婦人がお出迎えしてくれた。


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ロケーションから始まり、外観、内装、家具などの全てに店主の並々ならぬ拘りが感じられ、
店内に配されたクラシカルな調度品の数々までもが、この空間に見事に調和していた。


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緩やかな午後の日差しが優しく差し込む窓際のこの席に座ろう・・・

綺麗なバラをゆったりと観賞した後に、そのままの気分で頂くのはやっぱり・・・


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ロイヤルコペンハーゲン・ブルーフルーテッド(フルレース)


お茶の準備が整うと、テーブルの上には華麗な茶器のセットが並べられた。

状態の良いアンティーク品なら、カップ&ソーサーのセットだけでも
数万円の値は下らないロイヤルコペンハーゲンの人気の逸品だが、
こんなにも素敵な茶器を前にして無粋な事を言うのは止めにしようか。
 
ロイヤルコペンハーゲンを代表する清楚で繊細な白地に青色の模様は、
シルバーに輝くティーポットに反射して更に華やかさを増している様だった。


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最初の一杯は奥様自ら・・・


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マローネ


奥様がお勧めしてくれた紅茶は、この季節限定のフレイバーティーなのだが、
その香りとは、その名の通り“栗”!!・・・確かに秋の味覚には欠かせないが・・・

砂時計が落ちるのを逸る気持ちを抑えながらも待ち続け、始めの一杯を注がれると、
その瞬間にテーブルいっぱいに広がる得も言われぬ甘い薫りといったら・・・

もうこの薫りだけでも華やかな気持ちに包まれてしまうのだが、
勿論、恐る恐るカップを近づけると、更にふわっとした柔らかな、
そして、何処か素朴な円やかさも感じられ・・・これは焼き栗の、
あのほっこりとした甘い香りにも似ている様だった・・・

この芳しさは芳醇な香りだけにとどまらず、舌を通る味わいに関しても
とろりとした食感の後から濃厚な茶葉の香りや仄かな渋みに加えて、
まるでマロングラッセを食べた後の余韻の様な甘さも感じられた。


薔薇の園での優雅な時間を過ごした後に頂く午後のティータイム・・・
それは華麗な茶器と甘い香りに囲まれた、うっとりする様なひと時・・・

何もかもを忘れて、唯ぼんやりとあの頃の思い出に浸りながら・・・


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勿論、お茶と共にケーキもオーダーした。


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シャルロット・ポワール


控え目ながらもまったりとしたクリーミーなホイップクリーム。
このスイーツのメインであるふんわりとした軽い食感のムースは、
口に入れた瞬間、シュワッとした心地良い感触と共に溶けて無くなり、
ひんやりとした爽やかさとまろやかな甘さが余韻となって広がっていった。

そして何と言っても・・・ムースを覆うサクサクとした洋梨の瑞々しさ!
非常にフルーティーで、仄かに薫る酸味と自然な甘みが素晴らしい。

クリームとムースと洋梨を優しく受け止めているしっとりスポンジに至るまで、
その一つ一つ全てがまるでクラシック音楽の様に絶妙なハーモニーを奏でていた。


優雅な紅茶と優雅なスイーツのマリアージュに魅了されて・・・


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そうか・・・やっぱりキミは此処でも羽を休めに来ていたんだね・・・

でも・・・また直ぐに此処から飛び立ってしまうのだろう?
そして、また僕の手の届かない場所へと行ってしまうのだろう?


そう言えば、彼もこの店を一度訪れた事があったみたいだったけれど、
今回の僕の様にこの店にも一人で訪れたのかな?・・・それとも・・・
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by mary-joanna | 2009-12-03 00:29 | 有為の奥山
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