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ツ.甘いリハビリ

共通のテーマのブログを綴る者たちにとって、恐らく“オフ会”という言葉は、
何処かワクワクした気持ちに誘われる魅力的な響きに聞こえそうだが・・・

先日パピヨンと過ごした夜の公園での数分間は凡そ“オフ会”とは
似ても似つかない、まるで鋭利な刃物を突きつけられた様な
ヒリヒリした極度の緊張感と暗闇に向かって突き進む様な
ビクビクした不安感を併せ持った緊迫した会合だった。


そんな緊張や不安で迷ったり後ろ向きになったりした時、決まって訪れる場所がある。
Elvis Cafe全編を通じて紹介していきたかった、僕にとってのヒーリングスポット。
様々なマイナスの感覚を優しく解き解し穏やかで大らかな気持ちにしてくれる。
視界いっぱいに広がる雄大な自然の光景を見ていると何だかとっても・・・


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先日訪れたばかりなのに、またこの地に癒しを求めてやって来たのだ。
この前、9月にに紹介した際には黄金色にたなびいていたヨシ原も、
秋の深まりと共にちらほらと白銀の毛並みへと変化してゆく。

此処から見える景色が真っ白に変わる頃、遊水地の植物たちは
長い冬の眠りを迎え、そして躍動する春を夢見て眠りに就く。


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第3調整池からこの川を渡った僕は、更に先に見える土手の方に向かった。

この季節になってもジャングルの様に茂る川沿いを歩きながら、
広大な遊水地が見せる様々な側面に改めて感嘆していた。


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遊水地のシンボルでもあるヨシやオギは、他の花々の様な華やかさは無いものの、
一年を通じて様々な表情を見せてくれ、今まで考えた事も無かった楽しみを与えてくれた。

だが、そんなヨシ原に年々忍び寄る黄色い一団があったのだ・・・


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セイタカアワダチソウ


土手や草むらばかりでなく、何と道路の端や中央分離帯などでも
その存在を強烈にアピールし続ける、戦後に広まったとされる帰化植物。

そう言えば少し前からブラックバスやカメなどの帰化が日本固有の生態系に
深刻で多大な影響を与えているというニュースはよく耳にしていたけれど・・・

このブログを始めるまでは綺麗な黄色い秋の花で済ませてしまったかも知れないね・・・
それにしても、空の水色と淡いイエローのコントラストは確かに綺麗なんだけどね・・・


第3調整池の土手に戻って来た僕は、お楽しみの植物探しを始める事にした。
全てのモヤモヤを忘れて心からピュアな気持ちでいられる貴重なひと時。
10月も終わり、流石に土手の植物も少なくなったかなと思う間も無く・・・


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早速見つけた!・・・毛むくじゃらのお星様に・・・


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ホトケノザ


あれっ・・・キミは確か春に咲く花じゃなかったっけ?・・・
そうか、来年の春が待ち切れなくてひょっこり咲き出したんだね。


流石に春や夏に比べれば控え目になったのかも知れないけれど、
四季を通じてこの場所では可愛らしい発見が僕を待っていてくれていた。

さて、場所を広場ゾーンに移してサイクリングロード付近を散歩してみよう。


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史跡保全ゾーン


ヨシ原とはまた違った開放感でいっぱいの気持ちの良い広場は、
この一帯が何時訪れてもゆったりと時が流れているようで・・・


この日は旧谷中村役場跡の周辺から明るく賑やかな声が聞こえた。
どうやら地元の小学生が植物や昆虫、野鳥などの観察に来ていたのだ。

この地の植物や昆虫もビックリしているんじゃないかな?
いやいや、きっと彼らも元気な訪問者たちを歓迎しているよ!!

だって、ほら!


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イヌタデ


第1回目の主人公のキミたちだって、さわさわと風に揺られながら
その細長い赤い手をみんなで一斉に振って歓迎していたしね。

あの時は寂しそうにぽつんと独りで立っていたけど、
やっぱり沢山の友達と一緒の方が楽しいよね。


そう、独りっきりは・・・寂しいよね・・・


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「ツメクサ(ムラサキツメクサ)」


 これは・・・Arnold日記に出てくる店のリストじゃないかっ!!

 あの話は・・・Cindyが考え出した全くのフィクションなんだろう・・・
 それなのに、この前の青年といい・・・そしてキミといい・・・
 キミたちは本当に何者だっていうんだよ・・・

 そして・・・僕にどうしろていうんだ・・・



彼等から貰った初めてのメール、夏の日の丸の内での青年と過ごした時間、
その後の2ヶ月に及ぶ沈黙、そしてこのタイミングでの呼び出しのメール・・・

あの紙を見せられた瞬間、それまで僕の心の内で燻っていたもやもやを
一気に吐き出そうと僕自身珍しく冷静さを失って全く初対面の女性に
(例のグループの一員だったとはいえ)食って掛かってしまった。

しかし、彼女はそんな僕の態度を予め想定していたかの様に冷静だった。
あくまで(核心は秘密のままでの)グループ側の主張と取引の手順を
まるでインストラクターが説明するかの様に淡々と伝えていた。

そんな中で唯一漏らしていたのが、あの青年に対する愚痴だったのだ。


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そう言えばこの「ツメクサ」、先のイヌタデと同様にElvis Cafeの記念すべき第1回目の、
しかも一番初めに紹介した花として載せていたなぁ・・・あの時はこんな展開になるなんて
夢にも思っていなかったから、とても無邪気に、そして希望に満ちた眼差しで見ていたっけ・・・

このふんわり丸く広がった淡い紫色のちっちゃな手鞠は、あの時と全く変わっていないのに・・・



センチメンタルな女々しい奴だと笑われてしまっても仕方の無い事だが、
この時の僕には、これからElvis Cafeを続ける為に・・・リハビリが必要だった。

そして、今の僕に必要なリハビリとは・・・甘くとろける様な・・・極上のスイーツだった!!


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そんな僕を和ませてくれるスイーツを求めてやって来たのは、
意外にも渡良瀬遊水地からほど近い、茨城県古河市の郊外だった。

市街地から外れ、辺りには田んぼや畑も多く見られる道路沿いに
ややもすると見逃してしまいそうな若干控えめな二つの看板。

その看板の脇に続く砂利道を進むと木立に囲まれた一軒家が姿を現す。
それにしても、真っ赤に咲き乱れたサルビアの綺麗な事といったら・・・


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Kuchen Backen


彼、Cindyの日記が突然の終焉を迎える直前にリリースされた、
眩いばかりのルージュとブルーの共演には本当に驚嘆させられたっけ・・・

どうしてもあの輝きを僕も体験したくなって此処にやって来たんだよ。


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サルビア・ミクロフィラ・ホットリップス


印象的な看板の側にある植え込みには、紅白2色のふんわりした花弁が、
まるで緑の水辺をひらひらと泳ぐ金魚の様に、可愛らしい姿で出迎えてくれた。

それにしても、此処はお花畑と見紛うばかりにカラフルな草花で覆われていた。
そして、草花の他にも秋の訪れを目で楽しませてくれるモノに出会った。


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ガマズミ


鮮やかな赤い実を枝先いっぱいに付けて、これまで目にした花にも
決して勝るとも劣らない、非常に色鮮やかな姿を披露していた。

僕が尊敬しているブログの先輩(彼では無い!)で、毎年この時期に
ガマズミの実を酒に漬けて楽しまれる方がいらっしゃるのだが・・・

もう今年もそんな時期になったんだよなぁ・・・


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花と緑のスローブを進むと直ぐに此方の白い扉の前に辿り着く。

建物のシンプルな外壁から浮き出した様なメルヘンチックな白いドア。
まるでホワイトの板チョコに金色の飴細工でデコレーションを施したみたい。


此処は夢のお菓子の工房・・・そんな魅惑の世界への入り口にぴったりじゃないか!!


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真っ白な扉を開けると、中には正面のショーケースが置かれただけの小さな店内。
でも、ショーケースの蛍光灯に照らされキラキラと輝いているプチガトーの数々といったら・・・

清楚な純白やほんのりココア色のクリームでお化粧された麗しい身体に
赤や黄色やオレンジと、新鮮な旬のフルーツのアクセサリーを大胆に身に纏い、
スポットライトの下でアナタが訪れるのを静かに待っているキミたちを見て僕はもう・・・

そうさ、このスイーツの秋のファッションショーに唯ウットリと眺めているばかりだったのさ。


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彼の日記で気になっていた“赤と青の宝石”は、既にこの宝石箱には無かったけれど、
その代わり、僕の目の前には“今しか”味わう事の出来ない特別限定のガトーが並んでいた。

その中でも、僕が特に気になったのが・・・


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・・・この、いちじくのタルトだった。


更に、秋ならではの限定スイーツも購入して大満足の僕ではあったが、
もう一つ、この店で是非ともしてみたい事があり、店の方に相談してみた。

彼の日記で紹介されていた雨模様とは異なり、この日は穏やかな一日だった。
そこで、店の方にお願いをして、目の前にある庭園のテラスをお借りする事にした。


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庭の真ん中に置かれた周りの草木とお揃いの、ダークグリーンのアイアンテーブル。
そのテーブルを優しく包み込む様にぐるりと囲んだ植え込みや木々の隙間からは、
刈入れを終えた田んぼの風景が広がり、更に遠くの森林をも眺める事が出来た。

この素敵なテラスで僕がしてみたかった事とは・・・


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そう、是非とも此処でスイーツを撮影してみたかったんだよ!


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お店で収穫した柿のシフォンケーキ


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いちじくのタルト


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秋の穏やかな緑の中に囲まれて非常に心地の好い、安らいだひと時。

このままのんびりとした雰囲気のブログを綴っていきたいのに・・・
Elvis Cafeは、そんなまったりとした雰囲気になる筈なのに・・・


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お店で収穫した柿のシフォンケーキ


ケーキの上面を覆い尽くさんばかりに盛りつけられた麗しく輝くオレンジ色に
一瞬で目が釘付けになる事間違い無しの、存在感抜群の角切りの次郎柿・・・

その艶やかに潤んだビジュアルも然る事ながら、一口含んだ瞬間に広がる
ねっとりとした食感と瑞々しさ、芳醇な柿の風味とくせの無い自然な甘み。
更に柿本来の美味しさを最大限に引き出しながらもリッチな味わいの
ホイップクリームと卵の優しさに包まれたふんわりシフォンケーキ。


柿を洋菓子に持ってくる発想自体が非常にユニークなのに、
この小さなガトーにこれほどまでの完成度を湛えるなんて・・・

彼の絶賛する理由をその舌で体感したのだった。


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いちじくのタルト


そして、ショーケースで僕が一番気になったのがこのタルトだった。

彼の紹介でもあった通り、フルーツをはじめ全ての食材にとことん拘る姿勢は、
勿論の事ながら最も旬の時期の最も旬の産地の果物だけを厳選して使用するとの事。
そして、それが叶わない場合は決して店頭に並ばないという非常にストイックなまでの姿勢。

今回のいちじくも例外無く、最高品質を求めてこの愛知産の品種に辿り着いたという。


波打つ真っ白なクリームのラインが何時しか紅のスパイラルに広がっていく・・・

柿の時も感じた事だが、この表面のワインレッドに潤んだ輝きを見ていると、
彼が表現していた様にまるでガーネットをスライスしているみたいで・・・
本当に、何時まででも眺めていたい衝動に駆られてしまうよ。


お菓子を食べるのにこんなにも意を決する必要があったなんて、
今まで考えてもみなかったけれど・・・僕はこの作品にフォークを刺した・・・

旬の果物の爽やかなジューシーさは直ぐに濃厚な甘みへと変わっていき、
とろりとした食感と共に舌先を滑り落ちる滑らかさの後に残るいちじくの余韻に
ミルキーなクリームとさっくりとしたタルトが更にいちじくの美味しさを引き立てる。

彼では無いが、本物の宝石にはこの贅沢は決して体験できないのだ。


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北海道産完熟かぼちゃのほくほくプリン


 トリック・オア・トリート!!
 お菓子をくれなきゃ、いたずらするぞ!!



まるでそんな風に問いかけながら無邪気な笑みを浮かべるカボチャくんに
僕は思い切って手を伸ばしてみたんだよ・・・逆に僕がオマエを食べちゃうぞ~!!


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一面真っ白に覆われたクリームをスプーンですくってみると・・・

イタズラしようとこっそり隠れていた山吹色のカボチャのお化けがた~っぷり!!


ほっこりぽてっとした食感の裏漉ししたかぼちゃのペーストを
そのままカップいっぱいに詰めた様な、自然のかぼちゃそのもの!
こっくりとした滑らかさと濃厚なかぼちゃの風味と甘さが一つになって、
かぼちゃをそのまま頂く以上にかぼちゃを味わっている様な、しかしながら、
決して普通のかぼちゃでは感じる事の出来ない非常に類い稀なかぼちゃプリン・・・

最高のハロウィンのお土産に、すっかり楽しませてもらったよ・・・カボチャくん!!


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 この中の幾つかでいいのよ。そう、全部って訳じゃ無いのよ。
 それに、littleさん、アナタだって気になってるでしょう・・・
 彼があのブログで紹介したお店なのですから・・・

 このリストの一軒一軒が、彼の心に楔を打ち込んで・・・きっと彼は・・・



期限は特に決まっていないし、彼の紹介した順序を遵守する必要も無い。

ルールは唯一つ。このリストにある店を・・・
そう、CindyがArnold日記で紹介した店を・・・
僕のブログ・・・Elvis Cafeに載せるというものなのだ。

・・・もう「ツ」まで紹介してしまったこのブログに・・・
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by mary-joanna | 2009-10-30 00:48 | 常ならん
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